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5月&6月は“おむつ外し”に最適 自閉症児の母が強調するワケ

知的障害がある自閉症の息子を育てる女性ライターが、子どもがトイレトレーニングを行うのに最適な時期について、解説します。

5月と6月は、息子がトイレトレーニングに取り組みやすい時期(べっこうあめアマミさん作)
5月と6月は、息子がトイレトレーニングに取り組みやすい時期(べっこうあめアマミさん作)

 ライター、イラストレーターとして活動するべっこうあめアマミさんは、知的障害を伴う自閉症がある9歳の息子と、きょうだい児(障害や病気を持つ兄弟姉妹がいる子ども)の5歳の娘を育てながら、発達障害や障害児育児に関する記事を執筆しています。

 子育てにおいて、乗り越えなければならない大きな壁の一つが「トイレトレーニング」です。夏にやるとよいという話をよく聞きますが、実際はどうなのでしょうか。今回はトイレトレーニングの話について、アマミさんが解説します。

トイレトレーニング歴8年目の息子

 私の息子には重度知的障害があり、小学4年生になってもいまだにおむつが完全に外れません。

 息子のトイレトレーニング歴は長く、3歳前から始めました。一般的に、トイレトレーニングは3歳頃にやった方がよいと聞いていたので、それに倣って始めてみたのですが、知的障害児のトイレトレーニングはそんなに甘いものではありません。

 実際に息子が2歳後半のときに、とりあえずおむつを外してみましたが、言葉の理解が追いついていないこと、体の機能的にぼうこうに尿をためておくのが難しかったことなどから、まったくうまくいきませんでした。

 その後、9歳の現在まで一進一退を続けながら、ゆっくりとトイレトレーニングを続けてきた息子。トイレトレーニング歴は8年目となりました。

 こんなに長い間、トイレトレーニングをする人はそれほど多くないかとは思いますが、長い間続けてきたからこそ、1年のうちにおむつを外してみるのにちょうどよい時期があるのではないかと思うようになりました。うまくいかなくなる時期もあれば、比較的調子よく進む時期もあるからです。

 そんな息子の様子を見ていて、私は、5月と6月はおむつを外してみる絶好のタイミングだと思ったのでした。

夏前のトイレトレーニングが理想的な理由

 では、なぜ5月と6月がおむつを外してみる絶好のタイミングだと思ったのか。その理由は大きく分けて3つあります。

 1つは、年度の切り替わりでバタバタしていないこと。トイレはデリケートな問題なので、子どもが精神的に落ち着いているときの方がうまくいくことが多いです。特に、障害があって環境の変化に敏感な息子は、この傾向が強かったです。年度の切り替わりによるドタバタが少し落ち着いた5月、6月あたりが取り組みやすいように思います。

 2つ目の理由は、暑くもなく寒くもないことから、トイレのタイミングを見計らいやすいことです。

「トイレトレーニングは夏に行うのが良い」という話をよく聞きますが、本格的な夏に入ってしまうと、汗をたくさんかき、水分摂取量が増えるため、子どもがトイレに行きたくなるタイミングをつかみにくくなってしまうのです。

 息子が障害のある子どもの社会的な自立を支援する「療育」に通っている際、療育の先生から言われたのですが、夏のトイレトレーニングが良いというのは「洗濯物が乾きやすいから」であって、体の調子としては、必ずしも取り組みやすい時期ではないそうです。そこで、5月、6月である程度、トイレトレーニングを進めておくのが理想的なのではないでしょうか。

 3つ目の理由は、気候的に薄着であることです。おむつを外して失敗すると、どうしても衣類がぬれてしまいますから、洗濯が必要になりますよね。

 これは夏でも同様なのですが、洗濯物が多くなることを考えると、暖かくて、これからさらに暑くなっていく初夏の季節は衣類が薄くてやりやすいと思います。たとえぬれても風邪などひきにくいのもよいですよね。

 これらの3つの要素は、障害がある息子だけでなく、障害がない娘のトイレトレーニングにも当てはまると思いました。娘のトイレトレーニングはすでに完了しましたが、やはり初夏の季節に調子が良く、サッとおむつが外れていったように思います。

【画像】今年の夏、自閉症の息子に達成させたいことは?

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べっこうあめアマミ(べっこうあめあまみ)

ライター、イラストレーター

知的障害を伴う自閉症の息子と「きょうだい児」の娘を育てながら、ライター、電子書籍作家として活動。「ママがしんどくて無理をして、子どもが幸せになれるわけがない」という信念のもと、「障害のある子ども」ではなく「障害児のママ」に軸足をおいた発信をツイッター(https://twitter.com/ariorihaberi_im)などの各種SNSで続けている。障害児育児をテーマにした複数の電子書籍を出版し、Amazonランキング1位を獲得するなど多くの障害児家族に読まれている(https://www.amazon.co.jp/dp/B09BRGSY7M/)。「べっこうあめアマミ」というペンネームは、障害という重くなりがちなテーマについて、多くの人に気軽に触れてもらいたいと願い、夫と相談して、あえて軽めの言葉を選んで付けた。

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