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ひきこもりの32歳長男、父の死でうつ病悪化…入浴と着替え“週1回”に 社労士が出した“再起への道”

病院にカルテが残っていなかった場合に初診日を証明するには?

 母親によると、長男の受診歴は次のようになることが分かりました。

・1番目の病院 受診は21歳ごろから25歳ごろまで
・2番目の病院 受診は25歳ごろから29歳ごろまで
・3番目の病院 受診は29歳ごろから32歳の現在まで

 1番目の病院は終診からすでに7年が経過しています。そこで、私は初診日の証明方法について、母親に説明をしました。

「まずは1番目の病院にカルテが残っているかどうかを確認してみます。もしカルテが残っていなかった場合、本人や家族または代理人が『受診状況等証明書が添付できない申立書』という書類を作成することになります。さらに、当時その病院を受診していたことが証明できるような書類、例えば、領収書や診察券、お薬手帳などのコピーも添付する必要があります。ここまではよろしいでしょうか」

 母親は黙ってうなずいたので、私は説明を続けました。

「次に2番目の病院で受診状況等証明書を依頼します。息子さんの場合、2番目の病院は終診から3年ほどなのでカルテは残っていることでしょう。ここで受診状況等証明書を入手できるので、初診日の証明は2番目の病院で完了します。後は診断書やその他の必要書類をそろえて障害年金を請求します」

 ここで、私は注意点を述べました。

「ご留意いただきたい点としては、仮に事後重症請求が認められた場合、障害年金は書類を提出した月の翌月分から支給されることになっている点です。つまり『できるだけ速やかに必要書類をそろえて請求をすることが望ましい』ということです」

 すると母親は不安そうな表情を浮かべました。

「何だか大変なことになりそうですね。果たして私にできるかどうか…」

「息子さんの同意が得られれば、私の方で病院への問い合わせや書類作成など行うこともできるのでご安心ください」

「それは助かります。長男にも事情を説明して、ぜひお願いしたいと思います」

 面談後、長男の同意が得られた私は、1番目の病院に問い合わせをしてみました。すると、カルテは電子化されており当時の記録が残っていることが判明しました。1番目の病院で受診状況等証明書を依頼すると同時に、現在の病院で診断書を依頼しました。

 さらに、ご家族へのヒアリングを基に障害年金の請求に必要なその他の書類もそろえていきました。幸いにも1番目の病院にカルテが残っていたため、スムーズに障害年金の請求を完了させることができました。

 障害年金の請求から3カ月がたった頃、母親から「無事に障害基礎年金の請求が認められた」という報告がありました。母親は感謝の言葉を述べた後、最後に長男の近況も教えてくれました。

「長男は一時期に比べればショックもだいぶ和らいできているようです。ですが、悪化したうつ状態は改善しておらず、以前のような生活もできていません。時間はかかるかもしれませんが、父親の死を受け入れて生きていくしかないと思っています」

 そう話す母親の声は少し寂しそうでした。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

【豆知識】「初診日」の証明に不可欠! これが「障害年金」の請求時に提出する“書類”です

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浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

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