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「お子さんは自閉症ではないですよ」と言ってほしかった “療育の鬼”と化した母が現実を受け入れるまでの「過程」

訪れた【受容】の過程

病院の敷地内を歩く息子(立石美津子さん提供)
病院の敷地内を歩く息子(立石美津子さん提供)

 そうしたいくつもの過程を経て、【受容】にたどり着きます。

 息子は、病院内で行われていた療育に通っていました。入院病床が260床以上ある、精神科に特化した、18歳までの子ども専門の精神科の病院でした。(現在は廃院)

 ある日、療育開始時刻よりも早く到着し、敷地内を散歩していました。すると、鉄格子が目に入りました。近づいてみると、鉄格子越しに、小学生くらいのまだ幼い子が1人でいる姿が見えました。部屋にはベッドと椅子、そして自傷を防ぐことを目的に身体拘束をするためのベルトもありました。

 私は診察時、医師に「まだ小さな子がなぜ、入院しているんですか?」と尋ねました。すると医師は、「この病院には、家族が障害を受容していないために、適切な育成環境を与えられないことなどが原因で、2次障害を起こして入院している子が多くいます。ベッドはほぼ満床です。お母さまも気を付けて育ててください」と言いました。

 この言葉でハッとしました。目の前にいる、まだ幼い息子の将来を思い浮かべ、「私が受容しないとダメなんだ」と目が覚めたのです。

 受容のきっかけや、受容するまでに要する期間は人それぞれです。真の受容とは、今まで持っていた親の古い価値観を捨てること。そして、わが子に対して「あなたは、あなたのままでいい」と承認することです。

 この作業は、「普通」であることの呪縛を断ち切り、「世間体」とか「世間並み」といった横並びの生き方と決別し、わが子にとって最も幸せな生き方を理解し、寄り添うことなのではないでしょうか。

 私の最大の願いは、息子が人生最後の日を迎えるとき、「僕の人生は幸せだった」とつぶやいて天国に行けることです。皆さんの願いは何ですか。

 わが子の障害を受け入れられない保護者の皆さん、自分自身に問いかけてみてください。「子どもが普通であること」が願いですか。「子どもが幸せに生きていくこと」が願いですか。そのためにはどうすればよいですか。

 その自問が、きっと答えに導いてくれると思います。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

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