うつ病の24歳ひきこもり長男、「障害年金」請求先延ばしで母困惑 どう説得する?
カルテの保存期間は原則5年
そもそも障害年金を請求するためには、まず「初診日」をはっきりさせるところから始めます。初診日とは、その障害について初めて医師などの診療を受けた日を指します。「受診状況等証明書」という書類を手に取り、母親に見せました。
「息子さんの場合、最初の病院と現在の病院が異なるので、受診状況等証明書という書類で初診日の証明をすることになります。受診状況等証明書は最初の病院である心療内科で書いてもらいます」
「すると、長男が30歳になったときに心療内科で書いてもらえばよいのですね」
「それでは遅いかもしれません。確かに受診状況等証明書は最初の病院である心療内科に書いてもらうことになるのですが、当時のカルテがないと書いてもらえないからです。カルテの保存期間は、最後に診療した日から5年間とされています。つまり受診しなくなってから5年を過ぎると、カルテは破棄してもよいということです。息子さんが30歳になったときにカルテがすでに破棄されていた場合、受診状況等証明書を書いてもらえません」
それを聞いた母親は、表情を曇らせました。
「そうなんですか。では一体どうすればよいのでしょうか」
「現在息子さんは24歳なので、今なら診療内科に20歳当時のカルテは残っていることでしょう。カルテが残っているうちに、受診状況等証明書を入手しておく方が望ましいです。受診状況等証明書に有効期限はありませんから、一度入手しておけば、息子さんが30歳になったときにも使えます」
「受診状況等証明書を心療内科で書いてもらうためには、どのようにすればよいのですか」
「原則、息子さん本人が病院の受付窓口に出向いて作成依頼をします。ですが、病院によっては、ご家族からの依頼でも作成してもらえることもあります。まずは心療内科に問い合わせてみてください。とはいえ、息子さんに内緒で問い合わせるのは好ましくありませんから、息子さんから同意を得るところから始めてみましょう」
改めて、長男に説明すべきポイントを母親に説明しました。
・障害年金の請求をするためには、初診日の証明書(受診状況等証明書)が必要になる
・受診状況等証明書は、最初に受診した心療内科で書いてもらう
・カルテの保存期間は5年なので、長男が30歳になったときにはすでにカルテが破棄されている可能性がある
・カルテが破棄されていると、受診状況等証明書は書いてもらえない
・最初の病院で受診状況等証明書が入手できないと、障害年金の審査に影響が出てしまう可能性がある
「このようなことを息子さんと共有し、今のうちに受診状況等証明書を入手しておくことに同意を求めてみてください」
「分かりました。長男にもそのように伝えてみます」
母親の声には、強い決意がこめられているように感じられました。
(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

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