子どもと学べるマナー本出版 西出ひろ子さんが語る、子育てにおける“マナー”の意義
幼少期に基本のマナーを学ぶ意味とは?
西出さんは、「基本のマナー」を幼少期に伝えることには大切な意味があると話します。
「本著で紹介している食事の作法や物の扱い方、片付け、言葉の伝え方や聞き方などはマナーにおける基本中の基本であり、一度身につけば海外へ行っても通用するものです。子どもはこうしたマナーの基礎を小さい頃から身につけることで、自身が助かったり楽になったりする場面に遭遇する機会が増えていきます。そうした経験を積むことで、その場にふさわしい振る舞いが自然とできるようになります」
一方で、子どもに伝える側の親も、正しいマナーや、そのマナーが求められる理由をきちんと理解できていない場合があります。西出さんは、そうした大人たちにも幅広くマナーのことを知ってほしいという思いから「子育て中の方はもちろん、ビジネスパーソンにも読んでいただきたい」と話します。
「例えば『玄関で自分が脱いだ靴をそろえる』といった家庭内における基本的なマナーを、日頃、どれくらいの大人が欠かさずに行っているでしょうか。こうした基本的な振る舞いであっても、大人になるとおろそかにしてしまいがちですが、子どもは大人の振る舞いをよく見ているものです。道元禅師は『履き物をそろえると心もそろう 心がそろうと、履き物もそろう(中略)そうすれば、世界中の人の心もそろうでしょう』とおっしゃっています。まずは、こうした基本的なマナーを大人が実践することで、ご家族や社内の身近な人達と心をそろえるきっかけにしていただきたいと思っています。
また、あいさつやテーブルマナーなどの中には、大人でも知らないものがあるかもしれません。この本を通じて、子育て中の保護者の方から部下を持つビジネスパーソンの方まで、マナーの基本を改めて学んでいただけるとうれしく思います。マナーに対する気づきは、家庭内のみならず、社内・社外のコミュニケーションにも好影響を与えてくれます」
最後に、子どものマナー教育に対する思いについて聞きました。
「『靴をそろえる』『服を畳む』といった日常のさまざまな振る舞いを、ぜひ子どもの頃にたくさん体験させてあげてください。あるいは、お手伝いの形でお願いしてやってもらうのもよいでしょう。そして、お子様がマナーを正しく理解し、適切な振る舞いができたら、保護者の皆さんがしっかりと褒めて『ありがとう』と感謝の気持ちを伝えてください。
大切なのは、子どもが人に『ありがとう』と言ってもらえる環境を大人が作ってあげること。『ありがとう』の一言は子どもにとって大きな喜びとなるだけでなく、『認めてもらえている』という自信につながります。この体験が、子どもを『与えてあげられる人』に育てるのです。感謝やおわびを言葉や態度で示すことが、親子間の深いコミュニケーションを育み、絆を深めるはずです。
日々の子育ては、本当に大変なことの連続で、お疲れかとも思います。そのような中、この本が少しでも子育て中の皆様の癒しになってくれたら本望ですし、お子様へのマナーの伝え方に迷った時はこの本を開き、お役立ていただければうれしく思います」
(ライフスタイルチーム)
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