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「凍結卵子で妊娠・出産」のニュースが話題に 健康女性が実施、その背景に“晩婚化”

健康女性が卵子凍結、その背景に晩婚化

Q.つまり卵子凍結は本来、健康な女性がするものではないということですね。

内田さん「今回のケースは、医学的適応のない女性の卵子凍結であったこと、また、その後の不妊治療による妊娠・出産であったため、大きなニュースになりました。医学的適応のない女性に行う医療行為としてはこれまで、美容整形などが一般的で、不妊治療の領域は倫理的側面から、そうした医療行為はあまり行われてきませんでした」

Q.卵子凍結には当然、大きなリスクも伴います。

内田さん「卵子を採取するには、卵巣に針を刺さなければならず、それなりの薬も使います。まとまった費用も必要で、将来、その卵子を使用しない、あるいは使用できない可能性もあります。そのため、健康な女性の卵子凍結はこれまで一般的ではありませんでした」

Q.健康な女性の卵子凍結が行われるようになった背景は何ですか?

内田さん「晩婚化・晩産化がかつてなく進み、いまや不妊の最大の理由は晩婚化であるとも言われます。そうした状況において、医者としては、例えリスクはあったとしても卵子凍結の要望に応えざるを得なくなっているのです。今回のケースはその端緒であり、報道の価値があったと言えるでしょう」

Q.健康な人や夫婦の場合でも今後、卵子凍結は選択肢になるのでしょうか?

内田さん「1生理周期当たりに自然妊娠する可能性は30%程度と言われています。つまり、100組のカップルが妊娠を望んだ場合、最初の周期で妊娠するのは30組で、次の周期で残り70組のうち30%が妊娠することになります。このように計算していくと、不妊因子のないカップルでは1年間に99組が妊娠することになるため、1年間妊娠がない場合、“妊娠できない原因”があると考えるべきです。タイミングを10回取っても妊娠できない場合、治療はともかく、検査や相談はしておくべきでしょう」

(オトナンサー編集部)

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内田玄祥(うちだ・げんしょう)

医療法人幸のめばえ、静岡レディースクリニック、三島レディースクリニック理事長

国立病院東京災害医療センター・国立病院東京医療センターにて産婦人科等に勤務の後、旧厚生省入省。医政局、健康局、社会・援護局等で病院経営管理、救急医療政策、障害保健福祉、医療安全等の政策立案を担当した後、山梨県健康増進課長として地域の感染症対策、がん・生活習慣病対策や母子保健政策・不妊症対策の充実にも従事する。夫婦で不妊症治療を経験したことから、官僚としてではなく医師として現場で不妊医療に寄与していくことが重要と考え、厚生労働省近畿厚生局医事課長の後、国立循環器病センター等を経て現職。

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