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悪意のある投稿で「すっとする」10~20代が増加…若者はなぜ相手を中傷し続けるのか

Q.悪意のある投稿をすることで「気が済んだ」「すっとした」という感覚を得ている若者が増えている背景とはどのようなものだとお考えですか。

石川さん「若いというのは、さまざまな意味でストレスフルな時期です。体や心の成長、勉強や進路の不安、友達や親との関係、就職、恋愛、お金、いろいろな悩みが押し寄せてきます。そういったストレスをはき出せる場所、悩みを打ち明けられるような人が身近にいればよいのですが、現実はなかなか難しいという面もあります。

自分が悩んでいる一方で、ネット上には“リア充”の人や、他人の自慢話、ポジティブな情報がたくさん出ています。特に最近は、画像や映像で『一目見て楽しそうなことが分かる』という状況です。そうした情報がどんどん飛び込んでくれば、つい卑屈になってしまいますし、それこそ『毒の一つもはきたい』という心境にもなるかもしれません。しかも、スマートフォンなどを使えば簡単に、いつでもできるという環境です。人は何かをする時、ステップやプロセスが少ないほど行動に移しやすいのです。たとえば、テレビのチャンネルを変えたい時、テレビ本体に近づいて変えるのと、手元のリモコンで切り替えるのでは、後者の方がはるかに行動に移しやすいですよね。このように『簡単に毒をはける』という環境も、悪意のある投稿をしやすい心理的要素になっている可能性があります。

また、若い時期は同調性を強く意識する時期です。クラスで同級生の輪の中に入れないと不安で居たたまれないように、要はみんなと一緒にやることで安心感を得るのです。ネット上の悪意のある投稿も、『みんながやっているから自分も大丈夫』といった気持ちからやってしまうこともあるでしょう」

Q.投稿と若者や子どもとの適切な関わり方や、周囲の大人が気を付けるべきポイントについて教えてください。

石川さん「悪意のある投稿によって誰かを傷つけたり、場合によっては大きな損害を与えたりする可能性があります。まず、他者に対する想像力や、自分の行動が招く結果を考えられるような教育を心がけてください。ネット上の書き込みは『匿名だから何を書いても平気』と考えている人がいますがそれは間違いです。他人の権利を明らかに侵害したり、脅迫したりすれば、捜査対象になることもあります。また、ネット上には、悪意のある投稿だけでなく、うそや詐欺まがいの情報なども入り乱れています。不確かな情報や投稿にはできるだけ関わらないのが原則ですが、『もしも』に備えてあらかじめシミュレーションをし、対処方法を練習してもよいでしょう。

投稿や発信をする際には、『不特定多数の人に読まれることを想定しておく』『責任の取れる内容かどうか、法律に触れる内容ではないかなどをよく考える』『自分や他人の個人情報を出さないよう気をつける』といった注意点やルールを明確にしておくことをお勧めします」

(ライフスタイルチーム)

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石川結貴(いしかわ・ゆうき)

作家・ジャーナリスト

家族・教育問題、児童虐待、青少年のインターネット利用などをテーマに豊富な取材実績を持つ。短編小説集「小さな花が咲いた日」は7年連続で中学・高校入試問題に採用されている。最新刊「ルポ 居所不明児童~消えた子どもたち」では、児童虐待や貧困問題を抱えたまま放置される子どもの現状を報告した。出版以外にも新聞、雑誌への寄稿、「あさイチ」「報道ステーション」など数多くのテレビ番組に出演。2013年には「第61回日本PTA全国研究大会」の講演者に選出された。2015年、全国各地方紙(時事通信社配信)で教育特集記事「子どもとスマホ」を連載。

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