夏休み明けは要注意! 子どもの「心の不調」に親はどう対処? 子育てアドバイザーに聞く
夏休み終盤から休み明けは、子どもたちの心が不安定になりやすく、自殺が多発する時期とされます。この時期、親が注意すべきことについて、子育てアドバイザーに聞きました。
コロナ禍で迎えた3年目の夏休みも終盤です。例年、夏休み終盤から休み明けは、子どもたちの心が不安定になりやすく、自殺が多発する時期とされます。この時期、親は子どものどのような点に注意すればよいのでしょうか。子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに聞きました。
家庭の「居心地のよさ」守る
Q.夏休み終盤、子どもたちの心はどのような状態のことが多いのでしょうか。
佐藤さん「やはりその子の性格や置かれた状況、あとは年齢によっても大きく変わってくると思います。多くは、『夏休みの方がいいなぁ。だって学校だと早起きしなくちゃいけないし』『友だちとは会いたいけど、勉強はなぁ』のように、すごく嫌でもないし、すごくうれしくもない、そんな心境の子が多いように思います。
そして、学校が大好きな子、友だちに会うのを楽しみにしている子は、わくわくしているでしょう。一方で、中には憂鬱(ゆううつ)だったり不安だったりと、気持ちが落ち着かなくなり始める子も出てくる時期です。
例えば、性格が消極的な子、学校での人間関係に不安がある子、勉強が嫌いな子などは、新学期が近づいて憂鬱さを増していることが多いと思います。
年齢的に見ると、高学年になるほど、先々のことを考えるようになるので、それに伴い気持ちがいい方にも悪い方にも揺れがちです。逆に小学校低学年の子であれば、未来よりも現在のことを考えて過ごしていることが多いので、学校のことよりも、今まだ続いている夏休みに気持ちが行っている子も多いでしょう」
Q.では、夏休み明けの子どもたちの心はどうでしょうか。
佐藤さん「実際に学校が始まると、誰もが現状にさらされるので、より気持ちの動きは大きくなると言えます。いい方にも悪い方にもです。
基本的には、楽しいこともあるし、嫌なこと、面倒なこともある、というよくある一般的な日常を感じる子が多いと思われますが、いじめなどで深刻な人間関係の悩みを抱えている子にとっては、そこから距離を置ける夏休みが終わり、現実に直面して、大きな不安や恐怖にさらされてしまう可能性があります。
また、先ほどの質問で回答した低学年の子どもたちも、新学期が始まると、そこが今いる世界になるので、『始まってみたらすごくしんどい』『おうちの方がいい』と感じる子もいるでしょう。小さい子ほど、前触れなく急に『学校に行きたくないと言い出した』といった突然の変化が起こりやすいと言えます」
Q.夏休み終盤や夏休み明け、親は子どものどのような様子に注意すべきなのでしょうか。
佐藤さん「小学校低学年くらいですと、新学期が始まると、おうちで親に甘えてくることがよくあります。学校で使ってきたエネルギーを、家庭で補給しているような感覚ですので、むげに、『もうお兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから』などとあしらってしまうのは望ましくありません。あとは、疲れてイライラしたり、ぐずったりが増えることも多いです。
年齢が上がると甘えるようなしぐさは減りますが、それでも子どもの表情から、『あれ、何かあったかな』と気持ちの変化を感じ取ることはできると思います。もし普段と違うと感じたら、意識して様子を見てあげてください。こういうときは、親の勘と言うのか、長い年月一緒に過ごしていることで感じる何かというのは非常に大事なサインになってくれます。表情以外にも、食欲や睡眠、生活リズムなどに変わった様子はないか、気を付けて見てあげてください」
Q.精神的に疲れた様子など危険な兆候が感じられた場合、親はどう対処すべきでしょうか。
佐藤さん「なにより大事なのは、家庭の居心地のよさを守ることです。学校関係の悩みにおいて、子どもを強く追い詰めてしまうのが、不安や寂しさだと私は感じています。それらを少しでも緩和してあげることが親にできることです。
この時期は、親も夏休み中の疲れが出てきたり、宿題が終わっていないわが子にイライラしたりと負の感情が出やすい時期ですが、そういう状態だと、子どもに優しくなれないことも多くなってしまうので、親の方も自分の心身のリセットを心がけ、お子さんとできる限りコミュニケーションを取ってほしいと思います。
なお、小学生までなら意識すれば気付けることでも、思春期に入ると難しくなることがあります。部屋で1人過ごす子も増えるので、観察がしづらいのです。この時期に部屋で過ごすこと自体はごく普通のことなので問題視する必要はないのですが、その分、『何をしているかわからない』『表情を読み取るチャンスがない』と感じる親御さんもいると思います。
さらには、『学校どうだった?』と聞いてもつれない返事が返ってくることも多いでしょう。無理に聞くと、逆に口を閉ざしてしまうこともあるので、食事の時間など一緒に過ごせる瞬間を大事にし、努めて居心地のよさを意識してほしいと思います」
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