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「教師は多忙」実情を2000人に聞く 「月7日以上、土日祝日に仕事」している先生の割合は?

小中学校を中心に、教師の長時間勤務が指摘されて久しくなります。その実情を2000人規模のアンケートで聞くとともに、教育ジャーナリストに話を聞きました。

「教師は多忙」実情は?
「教師は多忙」実情は?

 小中学校を中心に、教師の長時間勤務が指摘されて久しくなります。実際にどれだけ働き、どんな業務に時間を取られ、教師という仕事をどう捉えているのか、公立小中学校の教師を対象に2000人規模のアンケートを実施するとともに、結果について、教育ジャーナリストに話を聞きました。

20人に1人が「月7日以上、土日祝出勤」

土日祝日に仕事をする日数
土日祝日に仕事をする日数

 アンケートは6月15~24日、全国のYahoo! JAPANユーザーのうち、「公立小中学校の教師」を対象に行い、男女2000人から有効回答を得ました。

 まず、「平日の1日平均の労働時間」を聞くと、「8~9時間」が最多で34.0%、「8時間未満」が23.7%、「9~10時間」22.1%と、短めの数字が上位に並びましたが、「10~11時間」が9.3%、「11~12時間」5.5%、「12時間以上」5.6%と長時間勤務の回答も一定数ありました。

 次に「土日祝日に仕事をすることはありますか。あればどの程度勤務することがあるか教えてください」と質問したところ、「月1~2回」が36.1%で最も多く、「なし」との回答が31.1%、「月3~4回」が20.5%、「月5~6回」が6.8%と続き、土日ほぼ出ずっぱりという「月7回以上」の人が5.7%いました。

 授業以外で、どういった業務が特に時間がかかるかを尋ねたところ、「授業準備」が22.2%と最多。これは本来教師が時間をかけるべき業務ですが、2番目に多かったのが「事務作業、報告書作成」で16.4%、次が「部活動の指導、監督」14.5%でした。

 一方、「本当はもっと時間をかけたいけど、他の業務が忙しく、時間をあまりかけられない」業務を聞くと、「授業準備」が37.9%と圧倒的に多く、他の回答は多くても1割強にとどまりました。

 多忙の一因ともいわれた「教員免許更新制」が7月で廃止になりましたが、廃止で負担が軽減されると思うか尋ねたところ(※アンケートは廃止前に実施)、「変わらないと思う」が62.8%と6割を超え、「軽減されると思う」23.9%を大きく上回りました。「重くなると思う」人も11.8%いました。

 それぞれの理由を自由記述してもらうと、「変わらないと思う」人は、「10年に1度、夏休みの数日間の講習がなくなるだけで業務が楽になるとはいえない」「免許の更新がなくなっても、校務分掌に関わる諸作業や書類作成などに関わる時間は変わらないと思う」「そもそもの業務量が多い」「日常業務が減るわけではない」などと回答。

「軽減されると思う」人は、「講習を探したり受けたりする時間が、別の業務に使えるから」といった声に加え、「休眠状態の免許も有効になり、少しは教師に戻る人が増える」と教員不足緩和を期待する意見もありました。

 最後に「現在の勤務状況や教師という仕事について、ご意見をお聞かせください。つらさだけでなく、やりがいやいいこともあれば、お書きください」と尋ねました。

 すると、「サービス残業が当たり前になっている」「とにかく休みたい」「人手が足りない」「家庭の事を学校に丸投げされる」「モンスターペアレント増加で保護者対応が増えている」といった嘆きの声が上がる一方、「勤務時間は長くて大変だが、毎日子どもの笑顔に癒やされている」「子どもたちの笑顔を見れば、疲れが吹っ飛ぶ」「子どもたちの成長が見られることがやりがい」「卒業生が成長して、社会で活躍している姿を見る喜びがある」「卒業生が訪ねてきてくれるのはうれしい」といった、教師の「やりがい」を語る声も多くありました。

【生の声】「早く辞めたい」から「子どもたちの笑顔で疲れが吹っ飛ぶ」まで 教師たちの声

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渡辺敦司(わたなべ・あつし)

教育ジャーナリスト

1964年、北海道生まれ、横浜国立大学教育学部卒。日本教育新聞記者(旧文部省など担当)を経て1998年より現職。教育専門誌・サイトを中心に取材・執筆多数。10月22日に「学習指導要領『次期改訂』をどうする―検証 教育課程改革―」(ジダイ社)を刊行。

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