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「教師は多忙」実情を2000人に聞く 「月7日以上、土日祝日に仕事」している先生の割合は?

消化しきれない仕事、週末に?

「本当はもっと時間をかけたい」業務
「本当はもっと時間をかけたい」業務

 次に、教育ジャーナリストの渡辺敦司さんにアンケート結果について聞きました。

Q.1日の労働時間や土日出勤のアンケート結果を見ての感想をお聞かせください。

渡辺さん「文部科学省の2016年度教員勤務実態調査と比べて集計方法が違うため評価は難しいのですが、それにしても平日の労働時間が少ないような気がします。『8時間未満』が23.7%を占めるのも、非常勤などフルタイムではない人が回答している可能性があります。勤務時間の数字は、あくまで今回の回答者の状況という参考程度に見る必要があるでしょう。

土日祝日の仕事に関しては、もともと土曜授業を実施している学校も少なくありません。ただし、平日の勤務の割り振りがきちんとできているかは、気になります。

実際には、平日で消化し切れない仕事を持ち越しているのが実態でしょう。時間がかかる業務や、もっと時間をかけたい業務に『授業準備』が最も多く挙がっているのが、それを裏付けています。

平日11時間以上の労働時間や、土日祝日に月5回以上の勤務をしている人がそれぞれ10%以上あることは、少なくとも一定の教員については、業務が過多となっている実態の一端だと言えるでしょう」

Q.教員免許更新制の廃止は負担軽減につながるのでしょうか。「変わらないと思う」先生が6割強でした。

渡辺さん「更新講習は10年に1度だけなので、平年の負担はそう変わらないか、あるいは『軽減される』とみているのかもしれません。教員免許更新制の『発展的解消』策である『研修受講履歴管理システム(仮称)』と差し引きで変わらないとか、かえって負担が重くなるとみる人も少なくありません。

廃止後の負担がどうなるかは、8月にも策定される『研修履歴を活用した対話に基づく受講省令に関するガイドライン(仮称)』(7月29日までパブリックコメント=意見公募手続き=実施中)と、その運用にかかっています。5月の関連法改正時に行われた両院の付帯決議の趣旨に沿って、学校現場の負担につながらない運用が求められます。

自由記述のコメントを見ていて気になるのは、『何も変わらない』『負担は重くなるだけ』『文科省の役人は現場を知らない』という、嘆きや不信の声が多いことです。昨今の教育改革を巡っては、『上』から次々と降って来る改革メニューに現場が振り回され、思考停止状態に陥っているような気がしてなりません。働き方改革に関しても、当事者である現場が受け身でいる限り、ますます自分たちの首を絞める結果となるのではないでしょうか」

Q.長時間勤務の解決策はあるのでしょうか。

渡辺さん「いくら業務を削減したり、外部人材の力を借りたりしても、教員の本務として求められる業務の量も質も格段に増えているのですから、現状のままで長時間勤務を抜本的に解決することはできません。

本年度中に文部科学省が実施を予定している新たな勤務実態調査は本来、2019年1月の中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)答申に基づいて3年間、学校の働き方改革に真剣に取り組んで、なお解消できない長時間勤務について考える基礎資料にするためのものです。勤務時間の過少申告が横行しているという研究者らの調査もありましたが、ぜひ文科省調査には正確に実態を答えて、現場実態を明らかにしてほしいと願います。

その上で、調査結果を受けた学校の働き方改革の『第2ラウンド』について、中教審において本気で議論することが求められます」

【生の声】「早く辞めたい」から「子どもたちの笑顔で疲れが吹っ飛ぶ」まで 教師たちの声

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渡辺敦司(わたなべ・あつし)

教育ジャーナリスト

1964年、北海道生まれ、横浜国立大学教育学部卒。日本教育新聞記者(旧文部省など担当)を経て1998年より現職。教育専門誌・サイトを中心に取材・執筆多数。10月22日に「学習指導要領『次期改訂』をどうする―検証 教育課程改革―」(ジダイ社)を刊行。

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