歯石除去が「痛い人」と「痛くない人」の違いは何? 痛みの「3つの要素」を歯科医師に聞いた
歯科医院で歯石を除去してもらうとき、痛みを感じる人と感じない人がいます。この両者の違いは何なのか、歯科医師に聞きました。
歯に付着した「歯石」を取り除いてもらうため、定期的に歯科医院を受診している人も多いと思います。この「歯石取り」については、「毎回かなり痛くてつらい」「あの痛みが嫌だから、歯石取りに苦手意識がある」といった「痛い」派と、「歯石取りで痛みを感じたことはないかも」「全然痛くないし、むしろスッキリ感が気持ちいい」といった「痛くない」派に分かれるようです。
歯石除去が「痛い人」と「痛くない人」、この両者の違いはどこにあるのでしょうか。高谷秀雄歯科クリニック(宇都宮市)院長で歯科医師の高谷秀雄さんに聞きました。
「歯石の量」と「歯茎の状態」がポイントに
Q.そもそも、「歯石」とは何でしょうか。
高谷さん「細菌が増殖して歯の表面に塊をつくった『歯垢(しこう)』はいろいろなものを吸着しやすく、歯を再石灰化しようと集まってきたカルシウム成分も吸着します。それが、汚れとともに固まったものが『歯石』です。文字通り、石のように硬く、歯ブラシやつまようじでは除去できません。市販の歯石除去グッズもありますが、歯肉(歯茎)を傷めてしまうリスクが高いです。われわれ歯科医師は毎日、患者さんの歯石除去をしていますが、医師でも、鏡を見ながら自分自身の歯石を除去するのは困難といえる難易度です。
歯石のできやすさは食生活、歯磨き習慣、歯並びなどに原因がありますが、体質も関わります。歯科医師に相談してみましょう」
Q.歯石はどのように除去するのですか。
高谷さん「石のように硬いとはいえ、歯ほど硬くはないので、多くの歯科クリニックで使われるペン型の『超音波スケーラー』という機器で容易に除去できます。動作時の音が、歯を削っているときの音と似ているので誤解されやすいですが、とても細かい振動で、歯石を“剥がす”ように除去します。一時的にしみる痛みを感じる人もいますが、麻酔を使用するケースはほとんどありません。除去した歯石は水で洗い流し、専用の器具で吸い込みながら行います」
Q.歯石を除去する際に「痛みを感じる人」と「痛みを感じない人」がいるようですが、その違いは何でしょうか。
高谷さん「基本的に、健康的な歯茎の人の場合、歯石除去の際に痛みを感じることはほとんどありません。痛みを感じてしまう人の特徴としては、次の3つに分けられます」
【(1)歯石の量が多く、固まっている人】
歯石を長年放置していると、どんどん硬くなり、取りづらくなっていきます。さらに量も増えるため、除石を行う際、超音波スケーラーのパワーを強くする必要が出てきます。そのパワーが強くなるほど、痛みを伴うことがあります。一方、歯石が少なく軟らかいほど、除石時のパワーも小さくて済むため、痛みを感じにくいと考えられます。
【(2)歯肉炎や歯周炎が進行し、歯茎に炎症が起きている人】
歯肉炎や歯周炎といった歯周病の進行に伴い、歯周ポケットが形成され、深い位置に歯石が沈着している「縁下歯石(えんかしせき)」の場合、より深い部位に器具の先端が当たり、痛みを生じることが多いです。
【(3)歯茎が退縮している人】
歯ぎしりや食いしばり、歯周病の進行により歯茎が退縮すると、歯の表面の最も強い部分であるエナメル質に覆われていない歯の根が露出します。知覚過敏を生じている場合、その部位に器具が当たると歯がしみるような痛みを生じてしまいます。
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