「洗口液」、 “歯磨き代わり”にしてもOK? 歯科医師に聞いてみた
「虫歯や歯周病の予防」「口臭予防」などの効果を期待して使う人も多い「洗口液」。その効果や、歯磨き代わりに使うことの是非について、歯科医師に聞きました。

毎日の歯磨きに加えて、洗口液(マウスウォッシュ)を使っている人もいると思います。洗口液には、「虫歯や歯周病の予防」「口臭予防」「歯石の付着を抑制」といった効果をうたうものが多くありますが、中には「ゆすぐだけで、本当に効果あるの?」「使うタイミングがよく分からない」「歯磨きの代わりにもなる?」といった声も聞かれます。
洗口液は本当に効果があるのか、歯磨き代わりに使ってもよいのか…さまざまな疑問について、高谷秀雄歯科クリニック(宇都宮市)院長で歯科医師の高谷秀雄さんに聞きました。
適切な歯磨きの効果を“補う”もの
Q.「洗口液」とはどういったものですか。
高谷さん「洗口液とは、虫歯や歯周病、口臭の予防効果が期待できる液体製品のことです。飲み込まずに吐き出すものが主で、飲み込んで胃液から口臭を防ぐタイプの製品とは別物です。つまり、洗口液は飲み込めないほどの薬剤であり、歯垢(しこう)を破壊したり、口腔(こうくう)内を殺菌したりする効果が期待できます。ほとんどの製品が、ブラッシング後の使用を推奨しています。ちなみに、『液体歯磨き』は歯磨き粉が液体になっただけの製品で、ブラッシング前に使用するものです」
Q.洗口液は、「虫歯、歯肉炎、口臭の予防」「歯石の付着を防ぐ」といった効果がうたわれていることが多いですが、実際のところ、効果はあるのでしょうか。
高谷さん「洗口液は、世界で初めて発売されてから100年以上の歴史があり、それが効果を証明しているといえるでしょう。ただしそれは、整った歯磨き習慣があってこそのものです。ブラッシングでは届かない部分まで薬剤が行き渡りやすい点、さらに口腔内の殺菌力においては、通常の歯磨きより優れているといえますが、細菌の集合体である『バイオフィルム』の深い部分への薬剤浸透は困難であり、あくまでも適切な歯磨きの効果を補うものとしての位置づけと考えます」
Q.中には、「時間がないとき」「歯磨きが面倒なとき」に、洗口液でゆすぐことで“歯磨き代わり”にしている人もいるようですが、こういった使い方はどうでしょうか。
高谷さん「歯磨きをする時間が取れないほど忙しい場合の“応急対応”として、洗口液の使用は有効です。ただし、ブラッシングをせず、洗口液だけを使用するのは、『何もしないよりはよい』程度のものであることを忘れてはいけません」
Q.歯科医師として、洗口液の日常的な使用を推奨しますか。
高谷さん「推奨します。洗口液にはとても多くの種類がありますが、『イオン系』と『非イオン系』に大別されます。イオン系は、歯磨き後すぐの使用が適切でしょう。一方、非イオン系は、バイオフィルムに浸透して作用するため、歯磨き後、30分前後経過してからの使用が最適と考えられます。
欧米と比較して、日本人は洗口液の使用率がとても低いというデータがあります。世界的に見ても、洗口液が必要ない人を挙げる方が難しいほど、ほとんどの人にお勧めできます。現在はさまざまな商品があるので、味や刺激が苦手な人にもきっと適したものが見つかるでしょう」
Q.洗口液を効果的に使うためのポイントとは。
高谷さん「長時間、口に含んだままにしたり、強くゆすいだりすると誤飲する可能性も出てきてしまうため、歯磨き後にサッとゆすぐ程度で使いましょう。まずは小さいサイズや試供品で、自身に合う製品を選んでみてください。また、洗口液の使用感に刺激を求めてしまうのは、よいとは思いません。確かに刺激が強いとスッキリ感はありますが、できるだけ刺激は抑えめに、わずかに感じる程度が好ましいでしょう。
洗口液を効果的に使うことも大切ですが、まずは、適切なブラッシングを体得するところからです。歯科医院に通っている、虫歯ができやすい人のほとんどに、ブラッシング不足がうかがえます。ぜひ、歯科医院で正しいブラッシングの方法を教わり、日々の歯磨きで実践して身に付けながら、洗口液を併用していきましょう」
(オトナンサー編集部)
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