「免疫力」、あなたは高い? 低い? 自分の数値を測れるのか、医師に聞く
新型コロナウイルスに感染予防で「免疫力」も注目されていますが、そもそも、現在の自分自身の免疫力はどれくらいなのか、知ることはできるのでしょうか。

新型コロナウイルスに感染しないためには、「3密を避ける」「ワクチン接種を受ける」「手洗いの励行」などの対応がありますが、同時に免疫力を高める必要があるとされています。「免疫力が高いと病気になりにくい」とはよく聞きますが、現在の自分の免疫力が高いのか低いのか理解している人は、ほとんどいないのではないでしょうか。自らの免疫力を何らかの数値などで知ることはできるのか、内科医の市原由美江さんに聞きました。
客観的な数値で表すことはできない
Q.そもそも「免疫力」とは何ですか。また「免疫力を高める」とは、どういうことでしょうか。
市原さん「免疫力とは、体内で発生したがん細胞や体の外から侵入してくる細菌、ウイルスなどの病原体を常に監視して攻撃する、健康を保つための自己防衛システムです。バランスのよい食事と規則正しい生活で免疫力が高まり、病原体などに対抗する防御力がパワーアップし、より病気にかかりにくくなります」
Q.新型コロナウイルスによる感染症を重症化させないためには、免疫力が大切だといわれますが、自らの免疫力がどれくらいなのか理解している人はほとんどいないと思います。免疫力を知ることは可能なのでしょうか。
市原さん「自分の免疫力を具体的に知ることは難しいと思います。例えば、自分が風邪にかかりやすい、あるいはかかりにくいと思っているとしても、それはあくまで自分の印象であって客観性がないからです。免疫力の指標となり得るものがないため、客観性がなく、評価は難しいでしょう」
Q.免疫力を何らかの数値で知ることはできない、ということでしょうか。
市原さん「一部の医療機関で、免疫力を測る検査が自由診療(健康保険が適用されない診療)で行われています。しかし、それは一般的ではなく、あくまで参考程度と考えるべきでしょう。
ただ、客観的な数字で表すことはできないものの、あくまで『自分の印象』にはなりますが、過去の自分と比較することはできます。『前よりも風邪をひきやすくなった』『ひきにくくなった』などと、免疫力の変化を感じることはできると思います」
Q.「免疫力を高めるため」の方法や食べ物の情報が世の中にあふれていますが、情報が多いことで逆にどれを信じればよいのか、分からなくなっている人も多いと思います。
市原さん「不規則な生活や肉体的・精神的ストレスで自律神経が乱れることによって、免疫力は下がります。そのため、規則正しい生活をしてストレスをなるべく与えないようにすることで免疫力の低下を防げます。東洋医学では冷えが免疫力を下げると言われており、冷えにも注意が必要です。
また、体の中の免疫細胞の約60%が腸の中に存在するため、腸内環境を整えることで免疫力は上がります。そのためには、先述の規則正しい生活に加えて、乳酸菌やビフィズス菌と一緒に食物繊維をたくさん摂取することも大切です。
『免疫力を上げてウイルスなどの感染を予防できる』とうたうサプリメントや特定の食品、グッズなどが販売されているようですが、現在のところ、直接的な効果が実証されているものは存在しません。そのような情報に振り回されず、基本的なことを徹底するしかありません」
Q.結局、免疫力を高められる確実な方法は「バランスのよい食事と規則正しい生活」に尽きるということでしょうか。
市原さん「その通りです」
(オトナンサー編集部)
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