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高年収でも厳しく…今後、「専業主婦(夫)家庭」は成り立たなくなるのか

高年収世帯も余裕はない

 夫の年収が低い専業主婦家庭が家計に余裕がないのは想像がつきやすいですが、では、夫の年収が高い世帯の専業主婦家庭は家計に余裕があるのでしょうか。

 例えば、コロナの経済対策として話題になった「給付金」ですが、これは子育て世帯に対して、年収960万円以上の世帯を除き、18歳以下の子ども1人につき、10万円相当の支援を行うものです。児童手当の「所得制限」の仕組みが適用され、夫婦どちらか年収の高い方が「制限」の対象となります。

 例えば、夫が年収600万円、妻が年収400万円で子ども1人の家庭には給付金が支給されますが、夫の年収が970万円で妻は専業主婦、子ども1人の家庭には所得制限が適用され、支給されません。

 参考までに、現在0歳から15歳までの子どもを養育している家庭を対象に児童手当として、1人当たり、原則1万円から1万5000円を支給していますが、2022年4月から、世帯主の年収が1200万円以上の場合、支給が打ち切られる予定です。また、高等学校に通う子どもがいる家庭を対象とした「高等学校等就学支援金」も年収910万円以上の専業主婦家庭には支給されません。

 税金についても、日本は所得が上がれば上がるほど所得税の税率が上がる「累進課税制度」が適用されるので、たくさん稼いでも税金が高く、思ったほど、手取り金額は多くありません。このように、高年収の専業主婦家庭の場合も、受けられる手当が少なく、税金も高いため、思ったよりも家計に余裕がありません。

 お金の面で考えると、専業主婦家庭よりも共働き家庭の方が当然、経済的余裕が出ますが、助成制度や税金のことを考えても、1人が1000万円を稼ぐよりも、夫婦で500万円ずつ稼いだ方がお得といえます。さらに、ニッセイ基礎研究所のデータによると、生涯所得という軸で見た場合、大卒の女性が2度の出産を経て正社員として働き続けた場合、育休や時短勤務を利用しても生涯所得は2億円を超えるとのことです。

 一方、第1子出産後に退職し、第2子の子育てが落ち着いてから、パートで再就職した場合の生涯所得は約6000万円とのこと。専業主婦家庭の場合、これらの所得を稼ぐことができないので、共働き家庭と生活面で大きな差がついてしまうと言えるでしょう。

 今の時代は働き方も多様化してきていますし、社会の価値観も変化しています。家庭の事情はそれぞれ異なるため、一概にはいえませんが、これからの社会を考えたとき、現在、専業主婦のご家庭もできる範囲で、夫婦で収入を得ることを考えるのが大切ではないでしょうか。

(ファイナンシャルプランナー、Money&You取締役 高山一恵)

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高山一恵(たかやま・かずえ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)、Money&You取締役

2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを創業、10年間取締役を務め退任。その後、Money&Youの取締役へ就任。お金の総合相談サイト「FP Cafe」や女性向けマネーメディア「Mocha」を運営。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を生かした解説や講演には定評がある。著書は「ゼロから始めて2時間で一生困らないマネープランができる本」(彩図社)、「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「つみたてNISAでお金は勝手に増えていく!」(河出書房新社)、「パートナーに左右されない自分軸足マネープラン」(日本法令)など多数。Money&You(https://moneyandyou.jp/)、FP Cafe(https://fpcafe.jp/)、Mocha(https://fpcafe.jp/mocha)、マネラジ(https://fpcafe.jp/mocha/features/radio)、Money&You TV(https://fpcafe.jp/mocha/features/mytv)。

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