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収入を増やせばいい…は大間違い! コロナ禍で確実に「貯金」をする方法

新型コロナウイルスの影響で企業の倒産や解雇が相次ぎ、経済的に苦しい人が増えています。そんな非常時には「貯金」があると安心ですが、高収入でなくても、無理せずにお金をためられるのでしょうか。専門家が解説します。

無理なく貯金をするには?
無理なく貯金をするには?

 新型コロナウイルスの流行が長期化し、収入が減少したり、会社から解雇されてしまったりした人も少なくないと思いますが、そんなピンチのときこそ、あると安心なのが「貯金」です。しかし、コロナ禍で収入が減少する中、「貯金なんて無理!」と思う人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、年収が少なくても貯金するための方法や無理なくコツコツ貯金するためのコツについて解説します。

「パーキンソンの法則」とは

 ファイナンシャルプランナーである筆者の元には、さまざまなお金の悩みを抱えた人が訪れます。中でも「無駄遣いしているつもりはないのに、お金がたまらないのですが……」という相談は少なくありません。一生懸命働いて、節約生活をしているのに、月末になると、お金があまり残っていないというわけです。

 この手の相談をする人たちに「では、どうしたらお金がたまると思いますか?」と聞くと、多くの人は「高収入になれば、お金をためられると思う」と答えます。果たして、そうなのでしょうか。

 例えば、来月から給料が手取りで5万円増えるとします。その5万円を「すべて貯金に回せる!」と胸を張って言える人はどのくらいいるでしょうか。「5万円も手取りが増えたのだから、前から気になっていた洋服を買ってしまおうかな」「雑誌で話題になっていたレストランに行こうかな」と結局、給料で上がった金額分をすべて使ってしまった…というのはよくあるケース。

 実はこれは「パーキンソンの法則」に当てはまるものです。パーキンソンの法則とは、英国の歴史学者、政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソンの著作「パーキンソンの法則:進歩の追求」の中で提唱された法則です。

 内容は「支出の額は収入の額に達するまで膨張する」というもの。確かに、これまで多くの人のマネー相談にのってきましたが、先述の例のように、給料が上がっても貯金に回さずに、趣味や外食に使ったり、買い物をしたりと、収入が増えると増えた分だけ使ってしまうケースが少なくありません。

家計簿アプリで支出管理を

「お金をためる」というと、多くの人は「収入」に意識を向けがちですが、収入が少なくてもお金をためている人は「支出」に意識が向いています。お金をためるためには、まず、家計の「支出」を記録し、分析することが大切です。支出の記録と聞くと、多くの人が「家計簿」を想像することでしょう。確かに、家計を管理するとき、家計簿を活用すると便利なのですが、「忙しくて家計簿をつけている暇なんてない!」という人も多いと思います。

 そこでおすすめなのが、いつでもどこでも簡単にできる「家計簿アプリ」の活用です。今の時代、便利な家計簿アプリが多く出ていて、例えば、買ったものを一つ一つ入力しなくても、スマホのカメラでレシートを撮影すれば、買った品物や金額、店まで読み取ってくれる機能を持つアプリもあります。

 家計の状況は棒グラフや円グラフで表示され、支出を分析することが可能なので、節約ポイントが簡単に分かります。家計簿アプリなら、通勤時間中や休憩時間中でも支出の状況がすぐに把握できるので、「ちょっと使い過ぎたから、財布のひもを締めなくちゃ」という具合に支出を抑制する効果があります。

 そして、各費目の分析ができたところで、次にやってほしいのが各費目別に「予算を立てる」こと。基本的に予算の範囲内で暮らすことができれば、毎月赤字になることはありません。毎月、給料が入ったら、住居費や食費など日々の生活にかかる「生活費」と、冠婚葬祭や旅行、電化製品の買い替えなどにかかる「臨時支出」に分けて考えましょう。3カ月程度、家計簿をつけてみると各費目にどれくらい使っているかが分かるようになります。

 支出を把握したら予算を決めますが、限られた収入の中でお金をためようと思ったら、「支出のめりはり」をつけることが重要です。生活費の中で「使い過ぎ」「減らせそう」と思う費目については節約し、その上で予算を立てるようにしましょう。「どれくらいの予算が適正なのか分からない」という場合、家計簿アプリによっては、アプリ上で簡単な質問に回答することで最適な支出の割合を提示する機能があるため、活用するのもよいでしょう。

 また、1回ずつの支出が意外と大きい臨時支出は、1年分ではとても大きな金額になります。家計がギリギリの状況ではこうした臨時支出が発生した場合、すぐに家計が赤字になってしまいます。臨時支出についても1年分の臨時支出代を書き出してみて、それを12カ月で割り、毎月の家計の中に予算として組み込んでおきましょう。

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高山一恵(たかやま・かずえ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)、Money&You取締役

2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを創業、10年間取締役を務め退任。その後、Money&Youの取締役へ就任。お金の総合相談サイト「FP Cafe」や女性向けマネーメディア「Mocha」を運営。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を生かした解説や講演には定評がある。著書は「ゼロから始めて2時間で一生困らないマネープランができる本」(彩図社)、「やってみたらこんなにおトク! 税制優遇のおいしいいただき方」(きんざい)、「つみたてNISAでお金は勝手に増えていく!」(河出書房新社)、「パートナーに左右されない自分軸足マネープラン」(日本法令)など多数。Money&You(https://moneyandyou.jp/)、FP Cafe(https://fpcafe.jp/)、Mocha(https://fpcafe.jp/mocha)、マネラジ(https://fpcafe.jp/mocha/features/radio)、Money&You TV(https://fpcafe.jp/mocha/features/mytv)。

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