楽しい? 面倒くさい? カット中の「雑談」、客と美容師それぞれの受け止め方は
美容師に雑談の研修も
では、話し掛ける側である美容師は施術中の雑談をどのように捉えているのでしょうか。美容師勤務歴15年のAさん(35歳女性)は「人と話すのが好きなので、お客さんとの雑談も大好き」と話します。
「髪のセットに満足してもらえるのもうれしいですが、雑談を終えて、笑顔で帰っていくお客さんを見るのも本当にうれしくなります。仲良くなったお客さんから、恋愛相談を受けることもあり、私も結婚する前は、仲良くなったお客さんにこちらから、恋愛相談をすることもありました。恋愛相談は特に楽しいです。美容師とお客さんという近すぎず遠すぎない関係が恋愛相談をするのに適していると思います」(Aさん)
都内で美容室を経営するオーナー兼スタイリストのBさん(40歳男性)はAさんと同じく、客との雑談が好きとのことですが、働いている美容師が自分本位で雑談をして、客の気分を損ねていないか、よく見ているそうです。
「スタッフを見ていて、『あのお客さまに対しては話し掛けすぎかな』『もっと言葉を選んで話した方がよいのでは』と思った際は後で注意します。実際、雑談に関するクレームをお客さまから頂くこともあるので、私たち美容師は雑談内容のクオリティーや雑談時のお客さまの様子について、気を付けなければいけません。
私は、お店をオープンさせる前、美容師専門の接客マナー講習に行って勉強しましたが、その講習の中には、雑談に関するものも含まれていました。その中で『相手の反応を見ながら、会話の量や内容を調整する』『無理に話そうとし過ぎない(相手に自分が無理している気配が伝わってしまうため)』など雑談のイロハを学び、そのときに学んだことがスタッフの指導に今でも役立っています」(Bさん)
お客さんの中に雑談を楽しみにして来る人がいる以上、雑談も美容師の仕事のうちといえるでしょう。求められるのがスタイリング技術だけでないところに、美容師という仕事の大変さを思わされますが、“雑談”がうまくはまったときの喜びもまた、ひとしおのようです。
(フリーライター 武藤弘樹)

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