1000人で収入122億円…おカネで見る、日本相撲協会が“変われない”ワケ
7割が年収100万円以下の「格差社会」
一方、個人の給与ですが、約70人いる十両以上の「関取」になれば、最低でも1400万円程度が保証されており、さらに番付を上げれば大関3000万円、横綱4500万円と急激に上昇します(その他、懸賞金やタニマチからの寄付などがある)。また、ある程度実績を残し、協会からも覚えがよい力士がなれるとされる親方も、無役で1200万円前後、理事長ともなれば2000万円近い年収があるため、上に行けば行くほど、高収入と引退後の生活が保障されることになります。
逆に約680人いる十両以下の場合、年収は100万円以下。伝統的に「部屋に住み込み」で、すべての生活の面倒を見てもらうことになりますので、このような「部屋住み」を多く抱える事情から、1人あたりの売り上げが低下しているものと思われます。
番付通りの「ピラミッド構造」の力士の収入、そのピラミッドの上に100人の「年寄(管理職)」という構造で、収入だけを見れば1000人中の約7割(680人)が100万円以下、2割弱(170人)の関取と年寄が1000万円超という極端な「格差社会」です。
また、野球やサッカーなどほかのプロスポーツでは、指導者は元選手が多い一方、管理や経営は基本的にはその道のプロが行いますが、相撲の場合「指導、管理、経営」すべてが元選手です。現場から理事長まで全員が「力士(元力士)」であり、「横綱は神」と持ち上げたところで上層部には「元」神がゴロゴロいて、常に先輩・後輩の関係を引きずり、引退後はその先輩の世話になるわけですから、完全な「村社会」です。
一般論として、このような組織は「変わりにくい」と言えます。組織の上部2割に富が集中し、かつその立場が長期にわたるため“暗黙の了解”でお互いの利害が調整されていきます。同様の現象は多くの組織で見られますが、一般企業であれば、あまりに内向きになると、その隙(すき)にライバル企業にシェアを奪われ業績が悪化します。それを機に「このままではいけない」という改革派が台頭し、結果として新陳代謝が促されるので、「皆仲間」というよりは、多少の内部対立がある方がある意味健全なのです。
八角理事長を代表とする「体制側」と、貴乃花親方を中心とする「改革派」。どちらが正しいのか筆者には分かりませんし、今まで穏当に運営してきた当事者たちからすれば、今回の騒動は迷惑以外の何ものでもないと思いますが、良し悪しは別にして、組織活性化のためには時に「対立」も必要なことかもしれません。
(株式会社あおばコンサルティング代表取締役 加藤圭祐)

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