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コロナ後の新常識? 「オンライン葬儀」がクリアすべき3つの問題点

プライバシーへの配慮は?

【(2)プライバシーへの理解不足】

 ここでの「プライバシー」は故人と参列者、両方に対してのものです。葬儀はもともと、私的・公的が入り交じる行事であり、繰り返し見ることを意図して演出されたものでもなければ、その場にいない誰かに見られることを想定したものでもありません。

 例えば、祖母の葬儀に参列し、涙が止めどなくあふれてしまい、鼻水と涙で顔が赤くなったところを生配信されたいと思う人はいるでしょうか。泣くこと自体は十分あり得るでしょうが、それを生配信されたいか公開されたいかと聞かれれば、皆さんも考えてしまうと思います。

 また、参列者全員の行動をコントロールすることは難しいです。例えば、弔辞などお別れの言葉を述べるときに故人の死因や病歴に触れてしまい、近しい遺族や故人の思いに反して“公開”されてしまうことも起こり得ます。守るべきものが守られないのは、プライバシーの観点からみても問題があるということです。

 私たちが生きているこの現代社会は、さまざまな問題と向き合ってきた歴史そのものです。その中には、特定の病気による差別や不当な偏見もありました。そして、「死因や病歴を公開するのはプライバシーの観点から熟慮に値することだ」との認識を共有することで、不当な偏見や行為が少しでも減るようにと先人は努力してきたのです。

 もし、公にされたくない死因や病歴が何かの拍子に“公開”されてしまったら、配信者である葬儀社はどんな責任を問われるでしょうか。法的な責任がなかったとしても道義的な責任は発生します。「どう責任を取るんだ」と聞かれて、「そんなことが起こるなんて思いも寄りませんでした」と言っている光景が目に見えます。

【(3)生配信の危うさ】

 生配信というのは何が起こるか分からないもので、極端な話、喪主や僧侶が転んで頭を打ってもん絶しても、それがそのまま配信されてしまうのです。

 撮影範囲が広い場合は、たとえ気を付けていても、お別れのシーンで遺体の顔が映り込んでしまう可能性も否定できません。それが生配信中なら、「故人の死に顔を見せたくない」と思う遺族にとっては非常に不快であり、悲しい出来事になってしまいます。

 筆者としては生配信にこだわることなく、葬儀の撮影を行った後、喪主の責任で「公開してよい部分のみ」を公開すればいいのではないかと考えます。そうすれば少なくとも、遺族の心情は守られた形での公開になるはずです。

「遠方の人ともお別れを共有しよう」という試み自体は非常に温かいもので、可能性があるものです。しかし、だからといって問題点を議論することなく、「新しい試みなんだから批判するな」と言うのはいささか乱暴な意見で、その試みが本当に価値のあるものとなるように考えていくべきでしょう。

 どこまでの範囲の人に、どんな内容を、どのように伝えるのか。それがオンライン葬儀に大切な「コントロール」という概念なのだと思います。

(佐藤葬祭社長 佐藤信顕)

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佐藤信顕(さとう・のぶあき)

葬祭ディレクター1級・葬祭ディレクター試験官・佐藤葬祭代表取締役・日本一の葬祭系YouTuber

1976年、東京都世田谷区で70年余り続く葬儀店に生まれる。大学在学中、父親が腎不全で倒れ療養となり、家業を継ぐために中退。20歳で3代目となり、以後、葬儀現場で苦労をしながら仕事を教わり、現在、「天職に恵まれ、仕事も趣味も葬式」に至る。年間200~250件の葬儀を執り行い、テレビや週刊誌の取材多数。YouTubeチャンネル「葬儀葬式ch」(https://www.youtube.com/channel/UCuLJbkrnVw6_a35M0rk8Emw)。

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