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「迷惑極まりない」と怒りも…私はコロナに感染しないと言う人の心理とは

周囲はどう接すればよい?

Q.「俺は/私は感染しない」と主張する人に対して、周囲はどのような接し方をすればよいのでしょうか。

小日向さん「『俺は/私は感染しない』というのがその人にとっての真実ですから、信頼関係が構築されていない他人が真っ向から反対意見を言っても、さらなる分断を生むだけです。

コロナも含めて本来、自然災害からの復興や疫病には皆で協力して立ち向かわなくてはいけません。しかし、今回のコロナウイルスに対してはさまざまな意見や価値観が対立し、逆に分断を生み出しているように感じます。信頼関係が構築できていなければ、アドバイスや忠告はさらなる分断を生む一方です。

物事の本質を見誤ってはいけないと思います。相手に対して『自分のアドバイスを素直に聞き入れてくれるくらい、信頼関係が築けているのかどうか』を判断基準とすれば、個別に接し方が見えてきます。アドバイスや忠告の前に、まずは信頼関係を築く努力をしてみましょう」

Q.「俺は/私は感染しない」と主張して、感染対策を積極的に行わない人が周囲の働き掛けなどによって、自分の考え・行いを自覚し、このような性質を変えたいと思ったとき、望まれる意識・行動とは。

小日向さん「他人への想像力を働かせた考え方へのシフトチェンジを意識してください。例えば、PCR検査を受けていないから分からないだけで、『実は陽性だけど症状が出ていないだけ』という可能性もあります。あるいは、今日は陰性でも明日、罹患する可能性もあるわけです。

これを自分中心で考えてしまうと『自分は体に不調が出ていないから大丈夫、以上』で終わりです。しかし、他者のことを考えて想像力を働かせれば、『症状が出ていないだけで、実は自分は陽性で、他人に感染させているかもしれない』となるわけです。このように考えることができれば、おのずと行動が変わってくるでしょう」

Q.終息の兆しが見えないコロナ禍で「『俺は/私は感染しない』と主張する人が職場にいて迷惑している」「ただでさえ不安な毎日なのに、こういう人が身近にいるとさらに不安になる」など根拠のない自信を主張する人に対して怒りや不安を感じている人は少なくないようです。

小日向さん「相手との関係性ありきで対応を考えましょう。例えば、『店主とお客さま』という関係性であれば、店の対策基準を明示して、従えない人には入店をお断りするだけで、そこに必要以上に感情を挟むこともありません。

先述したように、人と人の間に信頼関係がなければ、どんなよいアドバイスも反発を生じさせるだけです。おそらく、コロナ対策を行う中で『迷惑だ』と感じる言動・行動をする社内の人は、コロナ対策以外でも相性が合わないと感じている場合が多いのではないでしょうか。そうだとしたら、それはコロナ対策以前にそもそもの関係性に難があったということです。

感染が不安だったはずなのに、いつしか、感染対策をしない人の存在がストレスになっているようでは、精神的な負担という意味では同じです。自分がどう行動したらストレスが少ない環境になるのか、情報に流されるのではなく、自分の性格を分析して、おのおのが冷静に行動することが必要なのではないでしょうか」

(オトナンサー編集部)

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小日向るり子(こひなた・るりこ)

心理カウンセラー

カウンセリングスペース「フィールマインド」代表。出版社で働きながらボランティアで電話相談員を始めたことが、カウンセリングの世界に入るきっかけに。資格取得後、行政機関でのセクハラ相談員を経て、2012年に独立。2019年4月現在、約3500件の相談実績を持つ。メディア、ネットなどで心理・恋愛系コラムを多数執筆。フィールマインド(http://feel-mind.net/)。

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