マイホームを買ってはいけない! リスクに適応できず悲惨な結末も…
近著に「3分でわかる! お金『超』入門」がある加納敏彦さんに「マイホーム購入の是非」について聞きました。
皆さまは「ポストコロナ時代」を生き抜くための、正しく使えるお金の対策をしていますか。「今は大丈夫だから何の対策もしていない」「お金の本は読んでみるけど難しくて結局、実践できない」「お金のことを考えること自体が怖い」など自分に合った方法が見つからずに何の対応もできていない人が多いのです。そんなお金の悩みを解決しましょう。
今回は、お金の専門家(ファイナンシャルプランナー/コーチ)として活動する加納敏彦さんに「マイホーム購入の是非」について伺います。近著に「3分でわかる! お金『超』入門」(きずな出版)があります。
マイホーム購入は「慎重に」考えよう
マイホームを買った方がいいか、賃貸の方がいいか――。専門家の間でも意見が分かれるところです。お客さまの価値観や世の中の状況にもよりますので、絶対的な正解はないとも言えます。
「多くのお客さまから相談されるテーマの一つです。ただ、私はこう考えています。まだ買っていないなら、マイホームは『買わない』方がいい。なぜなら、これからますます、時代や社会の変化が激しくなると感じるからです。例えば、失業や収入ダウンなどのリスクも高まります。そんなピンチのときも賃貸に住んでいれば、家賃の安いところに引っ越したり、実家に帰ったりできます。賃貸の方がリスクや変化に対応しやすいのです」(加納さん)
「失業や収入ダウンなどでピンチのとき、住宅ローンが1000万円単位で残っていると大変です。どうしてもマイホームを買いたい方へのアドバイスとして、買うことを検討している方は慎重に判断することをおすすめします。このようなアドバイスをすると、『賃貸はかけ捨てになるから、ローンを組んででも買った方がいいのでは』という声も頂きます。しかし、マイホームは基本的にどんどん値下がりしていきます」
つまり、購入しても賃貸でも、住宅費の合計は大きくは変わらない点を加納さんは指摘しているのです。実は筆者も同じ考えです。マイホームをローンで購入するなど愚の骨頂と考えています。
「『老後に賃貸だと心配』と感じる方もいるかもしれません。でも、これからの日本は少子化で人口が減っていきます。空き家問題の方が深刻になってきています。あなたが老後に住む家は今よりもっと安く買えたり、安くローンで借りられたりする可能性が高いのです。ある程度のお金をつくっておけば、老後に家を買うこともそれほど難しくありません」
「最近は少し不便でも『密ではない』エリアの人気が高まっています。お子さんがいる方は学区内での家選びになることが多いですが、駅から少し離れるだけでも家賃が安くなることがあります。子育て中の騒音問題が気になる方は戸建て賃貸という選択肢もあります。こういう物件をぜひ検討してみてください」
借りる際の目安はどうするの
それでは、借りる際の目安はどのように考えておけばいいのでしょうか。加納さんは次のように解説します。
「借りるときの家賃の目安は毎月の手取りの25%以内がおすすめです。大きな固定費になるので、家賃はできるだけ抑えることを考えてみましょう。実家や親戚などを頼れる方はそれも前向きに検討するといいかもしれません。これまでは都心や駅近など便利なエリアの人気が続きましたが、新型コロナウイルスなどの影響で、郊外や駅から離れたエリアの人気も高まっています」
「1人暮らしの方にはシェアハウスもおすすめです。シェアハウスは自分の部屋とは別に共有スペースがある賃貸の住宅です。共有スペースはキッチンやリビング、お風呂やシャワー、トイレなどがあることが多いです。頭金・礼金がないところも多く、基本的には家具もついています。引っ越しの初期費用を安く抑えることができます。状況の変化に合わせて引っ越しもしやすいです。メリットとして毎月の家賃が安いことも挙げられます」
これからの時代、「備える」「稼ぐ」「使う」「ためる」「増やす」という視点で情報の取捨選択をすることが必要です。この視点を養えば、「自分に合ったお金との付き合い方」が見つかるはずです。
(コラムニスト、著述家 尾藤克之)
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