数円けちって小さい袋に詰めたら破れる悲劇…「レジ袋」有料化が生んだ戸惑い
有料義務化で、数円をけちって小さいレジ袋に商品をパンパンに詰めて破れてしまうなど、それまでは聞くことのなかった「レジ袋」に関する失敗談などを紹介します。
7月1日から、プラスチック製買い物袋、いわゆる「レジ袋」の有料化が義務付けられました。環境に配慮することを目的とした政策ですが、筆者が街の声を聞くと「マイバッグをファッションとして楽しめるようになりました」(34歳、女性)という肯定的な意見がある一方で、「無料で手に入ったものにお金がかかるようになり、単純に損した気分」(40歳、男性)といった否定的な意見もあり、両者を比べると否定的な意見の方が多い印象です。
賛否両論の中で始まったレジ袋有料化ですが、まだまだ慣れないシステムであることから、笑い話のような失敗談も聞くことができました。また、レジ袋の代金を受け取る側のスーパーの人がレジ袋有料義務化をどう思っているのか、併せて聞いてみました。
紙一重の“達成感”と“絶望感”
「コンビニによっては、大きいレジ袋の方が値段が少し高いので、けちって小さい方に(買ったものを)パンパンに詰めたら、帰り道で袋が破れたり、パンがつぶれたりという経験が何度かあります」(男性Aさん、32歳)
これは、レジ袋有料義務化の“あるある”かもしれません。本来であれば、容量に余裕を持たせて、値段の少し高いレジ袋を選びたいところですが、どうしても目先の値段に負けてしまうものです。
こうして、購入した小さいレジ袋に限界まで商品を詰めて無事に全部入ると、えも言われぬ達成感があります。しかし、内心喜ぶその人の手に持たれたレジ袋は、ギリギリのところでギチギチに膨らんでいて、次の瞬間には破裂しようと息巻いている可能性があります。“袋に詰めおおせた達成感”と“袋が破れた絶望感”は紙一重のところにあります。
そうしたAさんですが、“袋が破れた絶望感”を何度も経験しています。そして、袋が破れる度にいつも反省するそうです。
「袋が破れると、結局、うちに持ち帰っても再利用できなくなります。だから、『高くても大きめのサイズを選んだ方が結果的に損をしない』というのは分かっているつもりなのですが何とも…まだ有料化に慣れていないからか、数円でも余分に払ってしまうことへの抵抗感が強いです」(Aさん)
レジにおける数円単位の節約は、次のような悲喜劇ももたらします。
「マイバッグを持っていないのに、お金を使いたくないのと『これくらいなら持てるだろう』という甘い見通しで反射的に『レジ袋はいりません』と答え、結構な数の品物を胸に抱えて歩く羽目になりました」(女性Bさん、36歳)
これも、皆さんにとっても“あるある”なのではないでしょうか。
筆者もあります。一度、「レジ袋はいりません」と答えた後、レジ台の上に並ぶ買った商品の数々を改めて見て、「やっぱりこれ、手に持つには多すぎるんじゃ…」と不安になりました。しかし、いまさら「袋が欲しい」と言って会計を訂正させるのも店員さんに悪いし、一度口にしたことを引っ込めるのはひきょうな気がして、無言のまま会計を終えたのです。それから、腕、胸、脇などを駆使して商品を漏れなく抱え込み、恥ずかしい気持ちで逃げるようにコンビニを後にするまでで一幕です。
BさんもAさん同様、失敗の後にきちんと反省しているようです。
「今後、手で持てる分のキャパシティーを学んでいく必要があると痛感しました。あるいは、少し多いと感じたときは、きちんとレジ袋を買う“英断”が瞬間的にできるようになりたいです(笑)」(Bさん)
レジ袋有料化により、小さな“争いの種”も生まれているようです。
「仲のいい友人と連れ立ってコンビニに行き、2人の買ったものをレジ袋1袋に入れて済ませて、帰り道、どっちが持つかでもめたことがあります。自分たちの争いの種がショボすぎて笑ってしまいましたが。『俺はこの間、合コンを開いてあげた(だから、お前が持て)』『俺はその合コンでお前のサポート役として活躍した』と言い合っていたのですが、結局、ジャンケンで決めました」(男性Cさん、25歳)
Cさんは、仲がよい相手とのやりとりなので笑い話で終わらせられましたが、2人に上下関係や力関係がある場合、一方がいつも持たされる側に回って内心、不満がたまるというケースもありそうです。
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