奥深き色の世界! 中国で高貴な「黄色」が欧州で嫌われる理由
東洋で「高貴」を象徴する色が、西洋では「軽蔑」の対象となる――。とても奥が深い「色」の世界では、国や文化によってその「意味」が全く異なることがしばしばあります。その一部をご紹介します。
それぞれの色には、時にさまざまな意味が付与されますが、同一の色でも国や文化の違いによってその意味が全く異なることがあります。今回は、国や文化によって異なる「色の意味」について、カラー&イメージコンサルタントの花岡ふみよさんに聞きました。
仏教圏で高貴な「黄色」、しかし欧州では…
花岡さんによると、国や文化の違いによって意味が異なる色の代表が「黄色」。古代中国において黄色は皇位を象徴する「高貴な色」として崇められ、皇帝以外の使用が制限されていました。その由来としては「黄」と「皇」の発音が同じであることや、中国の「五行思想」で黄色が中央を表すことなど諸説あるようです。
「清朝を舞台にした映画『ラストエンペラー』では、黄金色に輝く宮殿において、皇帝が黄色(金色)の衣装を身にまとっているシーンがありますが、これは中国にとって黄色が特別な色であることを象徴しています」(花岡さん)
古代中国は文化や政治などあらゆる点で近隣諸国に大きな影響を及ぼしており、中国由来の文化が多い日本では、寺社仏閣で黄色の装飾をよく見かけるほか、タイやミャンマーなどの仏教国でも、黄色は高貴な色として定着しています。
ところが欧州では、キリスト教徒にとって許せない存在である裏切り者のユダが黄色の服を着ていたことから、黄色が「裏切りの色」として忌み嫌われる時代があったそうです。ここから、黄色には「裏切り」「排斥」「嫉妬(しっと)」などのネガティブなイメージが付され、現在でも黄色をナショナルカラーとする国は少ないといいます。
「三流ゴシップ誌を『イエローゴシップ』、東洋人を見下げて『イエローモンキー』などと呼ぶのも、黄色をさげすんでいたことの名残りです」
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