放置死の3カ月女児は「無戸籍」 現代日本で“戸籍がない”ことの意味とは?
無戸籍者が戸籍を作るには?
Q.これまで無戸籍で暮らしてきた人が、戸籍を作ることはできますか。
佐藤さん「戸籍を作る方法はあります。まず、全国の法務局・地方法務局に相談してみましょう。戸籍を得るまでの手続きは『母の元夫を父とする戸籍』と『元夫を父としない戸籍』のどちらの記載を求めるかによって異なります」
【母の元夫を父とする戸籍の記載を求める場合】
まず、法務局に出生証明書や母子手帳など母子関係を証明する書面を提出します。法務局が母子関係の認定をすれば、次に「出生事項記載申出書」という書類を法務局に提出します。その後、法務局と市区町村、母親の間での手続きがあり、母親が市区町村に出生届を出すか、市区町村長の職権によって、元夫の戸籍に記載されます。
【元夫を父としない戸籍の記載を求める場合】
先に「元夫=父ではないこと」を明らかにしなければなりません。医師の作成した証明書で「婚姻中に妊娠した子ではない」と戸籍事務担当者に対して直接証明できればよいですが、そうでない場合は裁判が必要です。
裁判は元夫を相手として、父子関係がないことの確認を求める「親子関係不存在確認の手続き」、または血縁上の父を相手として、子であると認めることを求める「強制認知の手続き」が考えられます。
裁判で母子関係と、元夫との子でないことが認定された場合、「出生事項記載申出書」に加え、判決文の謄本などを市区町村の戸籍窓口に提出します。その後は、市区町村と母親の間でやりとりがあり、母親が出生届を出すか、市区町村長の職権によって、母の戸籍に記載されます。
その他、父母が誰か全く分からないケースでは、就籍許可の裁判手続き(家庭裁判所の許可により、本籍を有しない者について本籍を設け、戸籍に記載するための手続き)を経て、新戸籍を作る方法があります。
Q.出生届を出さないなど、親が子を無戸籍状態にした場合、何らかの罪に問われることがあるのでしょうか。また、無戸籍ということで罪を問われることはあり得るのですか。
佐藤さん「出生届は出生の日から14日以内(国外で出生したときは3カ月以内)に、原則は父、または母が、子の出生地か親の本籍地、もしくは届出人の所在地の市区町村役場に提出しなければいけません(戸籍法49条、52条)。正当な理由なく期間内に届け出をしないと、5万円以下の過料に処される可能性があります(同137条)。
一方、無戸籍は親が子の出生届を出さないことで起きるため、無戸籍状態にされた者本人に全く落ち度はなく、本人が罪に問われることはありません」
Q.現在の日本で、「無戸籍で生きていく」ことについて、どう思われますか。
佐藤さん「無戸籍であっても一定の社会生活を営めるとはいえ、先述した通り、さまざまな生きにくさがあるでしょう。また、無戸籍者は複雑な家庭環境や不十分な教育など、無戸籍であることだけでなく、その他にも多くの問題を抱え、悩んでいることが少なくありません。一度、法務局や弁護士会などに相談していただければと思います」
(オトナンサー編集部)

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