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きょうは土用丑の日 「うな丼」「うな重」は何が違う? 器が異なるだけ…?

「うな丼」と「うな重」は、ご飯の上にうなぎがのっている点は同じなのに呼び方が違います。「うな丼」「うな重」は何が違うのでしょうか。

うな丼(右)とうな重の違いは?
うな丼(右)とうな重の違いは?

 きょう7月21日は「土用の丑(うし)の日」です。うなぎ料理専門店に行くと、お品書きに「うな丼」「うな重」の両方が書かれていることがありますが、ご飯の上にうなぎがのっている点は同じであるにもかかわらず、なぜか呼び方が違います。「うな丼」「うな重」は何が違うのでしょうか。器が「丼」か「お重」かの違いでしょうか。料理研究家で管理栄養士の関口絢子さんに聞きました。

「うな丼」起源は芝居小屋の食事?

Q.昔から、「うな丼」と「うな重」が存在したのでしょうか。それぞれ、どのようなきっかけから生まれたのですか。

関口さん「『うな丼』の由来は諸説あるようですが、江戸時代末期に刊行された随筆『俗事百工起源』によると、文化年中(1804~18年)の頃、堺町(現在の東京・人形町)の芝居小屋『中村座』のスポンサー、大久保今助が、かば焼きが冷めないようにと、丼飯の間に挟んで芝居小屋に届けさせたものが始まりのようです。『俗事百工起源』には『うなぎ飯』の起源と書かれていますが、現代のうな丼に近い形だと思われます。

江戸時代にはすでに、うな丼は庶民の間で人気となり、陶器や磁器、漆器の丼を使って出されていたようです。明治時代に入り、それまで地焼き(焼くのみ)だったかば焼きから、焼く工程で蒸す方法が取り入れられ、かば焼きがやわらかくなったことで、ご飯の上にのせるスタイルが確立、その後、さらに見栄えよくお重に入れたものが登場し、人気になって『うな重』となったそうです。

お重が使われるようになった由来は、他にも説があります。うなぎ飯が冷めないように重箱を3段重ねにし、上下のお重にお湯を入れて、真ん中のお重に入れたうなぎ飯を保温したという説です。お重に入れたうなぎ飯は、その辺りからも、丼よりも高級なものとして認識されていったとみられます」

Q.うな丼、うな重の違いは何でしょうか。丼に入っているか、お重に入っているかの違いだけですか。

関口さん「お店によっては両方のメニューがあり、違いは丼に入っているか、お重に入っているかという、器だけの違いというところもあります。中には、丼のご飯にたれを絡ませたり、刻んだかば焼きとたれをご飯に絡ませた『ひつまぶし』のようなご飯を使ったりするところもありますが、多くはおわんや漬物など、付属の品数が違っている程度のようです」

Q.うな重の方が、うな丼よりも値段がかなり高いことがあります。なぜ、このような差が出るのでしょうか。

関口さん「うな重は、うな丼よりもうなぎの量を多くしていることで、値段が高く設定されていることが多いです。丼よりもお重の方がサイズが大きく、うな丼と同じ量のうなぎを入れたのでは、隙間が多くて見栄えが悪くなってしまうためです。それが値段にも反映されているようです。その他にも、付け合わせや小鉢、汁物などの品数が違うことで値段に開きがあるようです」

Q.うな丼、うな重には「松竹梅」「並・上・特上」などのランク付けがあります。こうしたランク付けにより、それぞれ何が異なるのでしょうか。

関口さん「お店によっても違いますが、一般的には、うなぎの量や大きさ、養殖か天然かの違いで決められています」

Q.うな丼、うな重の両方が食べられるお店では何を基準にして、うな丼か、うな重かを選べばよいのでしょうか。

関口さん「うな丼は、うなぎを使う量が一番少なく、値段の設定もお手頃感があるため、所持金の都合で選べばよいと思います。うな丼をお昼だけ提供するなど、お店も集客を考えたメニュー構成にしている場合があり、結果的にあまり大差ないこともあるようです。

お店で使うたれやご飯は丼もお重も同じなので、その店の味わいを楽しみながらお手頃感で選ぶなら、うな丼がおすすめです。一方で『土用の丑の日くらいは奮発したい』ということであれば、うな重を注文してもよいのではないでしょうか」

(オトナンサー編集部)

関口絢子(せきぐち・あやこ)

料理研究家・管理栄養士・インナービューティースペシャリスト

米国栄養カウンセラー、ヘルスケアプランナー。企業やウェブサイトなどの各種メディアで、レシピやコラム、企画提案などを行う。斬新なアイデアやニーズを捉えた企画が人気を博し、CM用のフードコーディネートやフードスタイリング、商業施設のフードプロデュースなど多岐にわたり活動。「毎日続けられること」をモットーに簡単・おいしい・おしゃれ、かつ美容と健康に直結したレシピを発信。自らの体調不良を食で克服した経験から執筆した著書「キレイになる!フェロモンレシピ」で「食から始めるアンチエイジング」をテーマに、女性が一生輝き続けるための食事法を紹介。セミナーや女性誌の特集で人気を集めている。

■オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/ayako-sekiguchi/
■YouTubeチャンネル「管理栄養士:関口絢子のウェルネスキッチン」(https://www.youtube.com/channel/UC6cZRYwUPyvoeOOb0dqrAug

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