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息子を“程度の低い子”と言われ、入会断られた経験 私が考える「断り方」

同じ思いをさせないために…

 習い事の無料体験授業の段階で「部屋から脱走する」「他の子を突き飛ばす」…こうなると入会を受け入れることはできないのですが、私はスイミングスクールでの苦い経験があるため、「他のお子さんにご迷惑をかけることになるので、入会をお断りいたします」と心では思っても、そのまま口に出すことは決してできませんでした。

 落ち着きのないわが子に対して、親には「教室に入会すれば、椅子に座ることができるようになるかもしれない」「母親がしつけるのはもう限界だから、教室の先生に助けてほしい」という気持ちがあるのかもしれません。他の保護者からしたら、「いい迷惑」なのかもしれませんが、わが子のことに必死でそうなってしまうのは、私自身の状況が全く同じだったのでよく分かりました。そこで、苦し紛れに絞り出した言葉は…

「○○君は、個別指導だと伸びるお子さんですね。でもあいにく、今の段階ではそれができる講師がおらず、1クラス10人の集団授業の形態をとっております。教室に来たら椅子に座らなければならず、お子さん自身がつらい思いをすることになります。体制が整ったときにはご連絡いたします。お受けしたいのはやまやまなのですが…。今回は誠に申し訳ないのですが、入会していただくことができないのです」

 これで相手が納得したかどうかは分かりませんが、少なくとも「あなたのお子さんは、他の子に迷惑をかける存在で困る」とは言わないようにし、こちらの体制が整っていないとだけ伝えました。

 あれから15年がたち、息子は20歳になりました。今でも、近所のあのスイミングスクールの前を通るたびに、当時の光景やコーチの顔が思い浮かび、何ともいえない気持ちになります。「自分だったら、どう言われたら納得できるか」という視点に立って、断る――なかなか難しいことだと思います。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

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立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)。

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