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「賃貸」と「持ち家」はどちらが有利か メリット/デメリットを解説

物件を選ぶときの注意点は?

 物件を選ぶ上での注意点などについて、不動産コンサルタントの田井能久さんに聞きました。

Q.不動産コンサルタントの立場で見た場合、持ち家と賃貸、どちらの方が有利なのでしょうか。

田井さん「理論上、賃貸は持ち主の利益が含まれた状態で貸し出されるため、持ち家の方が有利です。持ち家は、資産価値が上がれば売却時に利益が得られるほか、自分の好きなようにリフォームするなど賃貸に比べて自由に使えます。

ただし、(1)住宅ローンなどを借りて高い金利を負担(2)維持に高いコストがかかる(3)購入後に住宅の資産価値が下がる――といった場合には、賃貸の方が有利になります」

Q.物件を購入する際の注意点は。

田井さん「資産価値があるかどうかを慎重に見極めることが大切です。例えば、駅から離れた土地にある物件や人口減少が著しく利便性の悪い場所にある物件は資産価値が下がりやすい傾向にあります。

極論すると、そのような物件を購入すると資産価値が下がるだけでなく、たとえ0円でも誰にも引き取ってもらえなくなる可能性があります。そうなれば、ご自分の子どもに『負動産』を引き継がせることになります。

例えば、1000万円の物件を100万円で売り出している際に『得だ』と飛びつくのではなく、『将来も100万円の価値を維持できるのか』という観点で選ぶ必要があります。災害時に被害が最小限に抑えられる立地にあるか、購入後どのくらいのコストがかかるのかも確認してください」

Q.日本各地で空き家が増えていますが、将来的に物件を安く購入できる可能性はあるのでしょうか。

田井さん「安く購入できる物件は今後いくらでも出てきますが、その金額に見合うだけの価値があるものが出てくるかどうかは分かりません。空き家の増加によって住宅の供給は増えますが、立地がよくメンテナンスが行き届いた物件は中古でも需要があるので、むしろ緩やかな物価の上昇に連動して値上がりしていくことも考えられます」

Q.高齢になると賃貸住宅をなかなか借りられない、あるいは住んでいた賃貸住宅から退去を求められるといった話をよく聞きます。今後もその傾向は続くのでしょうか。

田井さん「最近では、所有せず必要に応じて物を借りて生活するシェアリングエコノミーの考え方が不動産にまで広がり、賃貸に対するイメージも変わりつつあります。

かつて、賃貸は家を購入するまでの仮住まいというイメージが強かったため、高齢になっても住宅を所有できない人は資産が少ないと見なされました。そのため、不安に思った家主が高齢者の入居を拒否したケースもあったようです。

しかし、今は高齢者専用の賃貸住宅も多く建てられており、富裕層の中でも賃貸派が増えてきています。これまでのように『高齢者だからダメ』ということは減っていき、年金などの収入が安定しているなら、住宅を借りやすくなるのではないかと思います」

(オトナンサー編集部)

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田井能久(たい・よしひさ)

不動産鑑定士、ロングステイアドバイザー

大学卒業後、国内最大手の不動産鑑定事務所に勤務し、1995年に不動産鑑定士資格を取得。その後、米国系不動産投資ファンドで資産評価業務を担当し、全国各地でさまざまな物件の現地調査と価格査定を行った。2006年に独立し、タイ・バリュエーション・サービシーズ(http://www.valuation.co.jp/)を設立。海外事業も展開。1000件以上の評価実績を有する。滞在型余暇を楽しむ人に助言する「ロングステイアドバイザー」でもあり、2015年、マレーシアの企業と業務提携。MM2H(マレーシアの長期滞在ビザ)取得アドバイス業務を行い、自身も2018年にMM2Hを取得。名古屋地方裁判所の民事調停委員や愛知大学非常勤講師も兼務。

長尾真一(ながお・しんいち)

ファイナンシャルプランナー

教育資金、老後資金、万が一に備える保険など、生活に関わるお金の不安を解消し、未来に希望を持って暮らしていくためのお手伝いをする「生活設計のコンシェルジュ」として活動中。Life Design Concierge(http://www.bingo-fp.com)。

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