前途多難な英国のEU離脱
拠出金の額に大きな開き
【ポイント3】ブレグジットにかかる費用
英国はEU離脱にあたって、加盟中に発生した債務(EUスタッフの年金債務など)や過去に約束した拠出などを精算する必要があります。EUでは、その額は500億~600億ユーロと試算されているようです。一方で、英国も拠出の必要は認めているものの、政府内の離脱推進派が拠出金の上限を30億ポンドとするよう主張しているとの報道もあります。両者の巨額の溝がどのように埋められるのかは不透明です。
【ポイント4】「ハードブレグジット」とは
「強硬離脱」との訳もありますが、「交渉がまとまらない中で英国が強引にEUを離脱する」と解釈されるのであれば、それは必ずしも正しくありません。「ハードブレグジット」とは、移民・難民、あるいはその他の取り決めに関して英国が自由裁量を確保する一方で、単一市場参加などの優遇も放棄することを指します。「クリーンブレグジット」とも呼ばれ、そちらの方が本来の意味に近いでしょう。
「ハードブレグジット」のケースでは、EUからすれば、英国はその他のEU外の国と同じ扱いとなります。英国はEUだけでなく、米国などEU外の国とも新たな通商協定を模索することになります。そして、通商協定を結べなければ、英国は世界貿易機関(WTO)の共通ルールに従うことになるのです。
【ポイント5】スコットランドはどうなる
3月28日、スコットランド議会は、英国からの独立を問う住民投票の再実施について、英政府と交渉する権限をスタージョン行政府首相に与えました。2014年9月18日に実施された住民投票では、55%対45%で独立が否決されましたが、その後にブレグジット決定という大きな変化がありました。住民投票の実施時期は、ブレグジットの条件が固まる2018年秋~2019年春を想定しているようです。
メイ首相は住民投票を承認しない意向のようですが、国内にも頭の痛い問題を抱えることになりそうです。一方、自国内に類似の独立問題がくすぶるスペインなどは、スコットランドが英国から独立した上でEUに残留することに強く反対しそうです。
いずれにせよ、ブレグジットの道のりは長く、そして前途多難と言えそうです。
(株式会社マネースクウェア・ジャパン チーフエコノミスト 西田明弘)

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