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親のストレス軽減! 大騒ぎする子どもを叱らずにおとなしくさせる方法

「シー! シー! 静かにしなさい!」と年中無休で子どもを叱っている人がいますが、子どもは、どうやって静かにさせたらよいのでしょうか。

子どもを静かにさせるには?
子どもを静かにさせるには?

「シー! シー! 静かにしなさい!」と年中無休で子どもを叱っている人がいます。はたから見ているとその声の方がかえってうるさいと感じることもありますが、とはいえ、騒ぐ子どもを放っておくこともできず…こんなとき、どうやって静かにさせたらいいのでしょうか。

 子どもに注意すればするほど行動が改善されなかったり、その瞬間だけ態度が直っても、数秒後に同じことを繰り返したりするのは、イソップ寓話(ぐうわ)「北風と太陽」に登場する「北風」のようなやり方をしているからかもしれません。

あえて小さな声で話す方法も

「あるとき、北風と太陽が『どちらが先に旅人の上着を脱がせることができるか』を競って力比べをした。まず、北風が冷たい風を吹いて上着を吹き飛ばそうとするが、寒がった旅人は上着を押さえてしまい、脱がせることはできなかった。次に、太陽が強い日差しで照りつけると、旅人はあまりの暑さに、自分から上着を脱いだ。これで、勝負は太陽の勝ちとなった」

「強い力で相手を抑え込もうとするのではなく、自ら動きたくなるように仕向ける方が人の心は動く」という教訓を持つ寓話です。騒ぐ子どもを注意するとき、この「太陽」の技を応用する方法があります。

 ある小学校に騒がしいクラスがありました。担任は子どもたちの私語がやまないと「静かにしなさい! 口を閉じなさい!」と声を荒らげて注意していました。この担任教師は、子どもたちの声よりもさらに大きな声を出して収めようとしていたのですが、かえって教室内が騒がしくなる悪循環に陥っていました。一方、先生があまり大きな声を出していないのに、子どもたちがとても集中しているクラスがありました。実は、先生がこんな技を使っていました。

・子どもたちが騒がしいとき、先生は「子どもたちを集中させよう」と、あえて聞こえないくらいの小さな“ひそひそ声”で話している。これにより、子どもたちは聞き耳を立てるようになっている。

・児童に挙手を求めたとき、「ハイ! ハイ! ハイ!」と大声で身を乗り出して手を挙げている子ではなく、静かにサッと手を挙げた子を指している。

・姿勢が悪いときは、できていない子を注意するのではなく、最もよい姿勢の子どもを「○○ちゃんは姿勢がいいね」と褒めている。これにより「良い態度はどうすればよいのか」という注意を喚起している。

・声のスピードを速くしたり、ゆっくりにしたり、音量を大・中・小と使い分けたりして、めりはりをつけている。

 これらはプロの技ですが、子どもと一緒になって大声を上げながら叱るのではなく、親が無言になったり、わざと聞こえないくらいの“ひそひそ声”で話したりするのは、家庭でもまねできる技です。

「遊び」をしつけに取り入れる

 こうした技を「遊び」として上手に取り入れる方法をご紹介します。

【小さな声でしゃべるゲーム】

電車でお出掛けすると、現地に着くまでの間、子どもはうれしくてつい声が大きくなるものです。そんなとき、「電車内では静かにしなさい!」と怒鳴られたら、楽しい外出も台無しですし、見知らぬ人の前で叱られるのはプライドも傷つきます。

こんなときは子どもの耳元で「電車はおうちではないから、静かにしようね。今から『小さな声で分かるかなゲーム』をしよう」と伝えましょう。または、一切声を出さず、相手の唇を見て何を言おうとしているのか読み取るゲームにしてもよいですね。子どもはあっという間に静かになります。

【動かないゲーム】

「だるまさんが転んだ」の遊びのように「微動だにしない」といったルールを決めます。うろうろと立ち歩く子どもも、ゲームを面白がって、電車内でも動かずにおとなしくしてくれるかもしれません。

 最近では、イラストやアニメーションによって音の大きさや時間を視覚化する育児系アプリもあります。「シー!」「静かに!」の指示は子どもにとって曖昧な表現なので、アプリを活用すれば「どの程度の大きさの声なら問題ないのか」「どのくらいの間、静かにしていればよいのか」が子どもに伝わりやすくなるでしょう。

 私は幼児教室で、教師として子どもたちに授業をしていましたが、あいさつのときに「立ちましょう」と言うと、子どもたちが椅子を机の下に思い切りバーンと入れて一斉に立つので、教室中がとても騒がしくなっていました。そんなとき思い付いたのが「忍者のように静かに立ってみよう」という言い方です。「誰が音をさせないで立てるかな。競争!」と言うと、子どもたちは競って静かにしていました。

 子どもは「騒ぎたい」、親は「静かにしてほしい」という正反対の状況でも、このような工夫をすれば、親子ともどもストレスを感じずに行動できます。ぜひ試してみてくださいね。

(子育て本著者・講演家 立石美津子)

立石美津子(たていし・みつこ)

子育て本著者・講演家

20年間学習塾を経営。現在は著者・講演家として活動。自閉症スペクトラム支援士。著書は「1人でできる子が育つ『テキトー母さん』のすすめ」(日本実業出版社)、「はずれ先生にあたったとき読む本」(青春出版社)、「子どもも親も幸せになる 発達障害の子の育て方」(すばる舎)、「動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな」(小学館)など多数。日本医学ジャーナリスト協会賞(2019年度)で大賞を受賞したノンフィクション作品「発達障害に生まれて 自閉症児と母の17年」(中央公論新社、小児外科医・松永正訓著)のモデルにもなっている。オフィシャルブログ(http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/)、Voicy(https://voicy.jp/channel/4272)。

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