米国を待ち受ける「政府機関閉鎖」という危機
3月16日、米政府の債務残高に上限を設ける「デットシーリング」が復活。これにより、この上限を超えて新たに借り入れをすることなどが不可能になりました。さらに、米政府には“もう一つの危機”が待ち受けているようです。
3月16日午前0時(日本時間同午後1時)をもって、米政府の債務残高に上限を設定するデットシーリングが復活しました。政府は、この上限を超えて新たに借り入れをしたり、国債の利払い(これも新たな債務)を行ったりできません。
政府が約束通り利払いを実行できなければ、それはデフォルト(債務不履行)ということになります。現在の債務残高(約20兆ドル)はほぼこの上限に到達しています。
デフォルトの危機は秋ごろ?
デットシーリングは2015年10月末から2017年3月15日まで、議会によって無効化されていました。大統領選のさなかにそれが政争の具となり、政治や金融市場の混乱を招くことを避けるためでした。
デットシーリングの復活後も、ただちに危機が発生するわけではありません。米政府にはいくつかの「非常手段」があるからです。たとえば、財務長官は「債券発行停止期間」を宣言したうえで、公務員年金が投資している特殊な国債を償還することができます。その特殊な国債はデットシーリングの対象であるため、それらを償還することで、その分だけ債務の増加余地を生み出すことができます。
政府は、金を含む保有資産を売却して債務を圧縮することも可能です。ただし政府資産の売却は、政府への信任の低下や売却資産の価格下落につながる恐れがあるため、よほどせっぱ詰まった状況にならない限り使われないようです。
財務省はすでに「非常手段」を発動しています。そして、政府が万策尽きる、すなわち、本当にデフォルトの危機が迫るのは今秋ごろとなる見込みです。もちろん、それまでにデットシーリングが引き上げられたり、無効化されたりすれば、危機は回避されます。
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