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「全治1週間」のケガは1週間で完治しないかも!? そのワケとは…

病院で、けがの診断を受けた時などに聞く「全治◯◯週間」という言葉。そもそも、この言葉は何を指しており、どのように決まるのでしょうか。医師の先生に取材しました。

「全治◯◯週間」は何を意味しているのか

 けがなどをして病院にかかった時や、事件・事故のニュースなどでよく目にする「全治◯◯週間」という表現。この期間は一体何を指し、どのように決定されるのでしょうか。オトナンサー編集部が、医師の髙田女里さんに聞きました。

期間は医師の経験に基づき決まる

 まず全治とは、全有効治療期間(治療を要する期間)のことを指しており、完治までの期間とは異なるものです。後遺症が残るけがをした場合、そのけがが治るまでの期間が全治の期間であり、そのけがが治った後も続く後遺症の期間は全治に含まれません。「つまり、一生後遺症が残るけがをしたとしても『全治一生』とはなりません」。

 それでは、全治の「期間」はどのようにして決まるのでしょうか。髙田さんによると、「全治◯◯週間」などは、医師が初療の段階で、疾患が治癒するまでの期間を「見込み」で決定するもの。「骨折2週間+打撲1週間=3週間」のような加算方式ではなく、同じ部位に打撲と骨折をした場合は、打撲よりも長い治療期間を要する骨折が治癒するまでの期間を全治の期間としています。

 全治の期間を決定する基準は国や学会が定めるものではなく、医師が初療段階で、あくまでも経験に基づいて決めるもの。その期間と実際の治療期間が大きく異なることは原則ありませんが、傷の治癒過程で感染が生じたり、骨折部に再び外的な力が加わったりして治療が遅れれば、この限りではありません。

(オトナンサー編集部)

髙田女里(たかだ・めり)

医師(形成外科)・医学博士(法医学)

1980年8月15日生まれ。慶応義塾大学法学部法律学科の憲法ゼミで学んだ後、医師を目指して秋田大学医学部へ学士編入。医師免許取得後、2年間研修医として各科を回り、その後、法医学分野の博士号を取得した。日本形成外科学会会員、日本美容皮膚科学会会員、日本熱傷学会会員。

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