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中華料理店の「円卓」はどこが上座になるのか

中華料理店の「円卓」はその形状ゆえに、上座や下座が正確にわかる人は少ないかもしれません。今回は、本場・中国で出版歴などのあるマナーコンサルタント、西出ひろ子さんに円卓のマナーを聞きました。

知っているようで知らない「円卓」のマナー

 中華料理店でよく見かける「円卓」ですが、その形状ゆえに、上座や下座の位置を正確に言える人は少数派かもしれません。そこで今回は、中華料理店における円卓のマナーについてご紹介します。

 教えていただくのは、NHK大河ドラマをはじめ、ドラマや映画のテーブルマナーシーンでマナー指導を務め、本場の中国でも出版や講演、研修、連載などを行うマナーコンサルタントの西出ひろ子さんです。

出入り口から最も遠い席が上席

「中華料理店においても、席次の基本は出入り口から最も遠い席が上席、出入り口に近い席が下座となります」(西出さん)

 ただし、同じ円卓でも、会議と中華料理を食べる時では席次が異なるため、注意が必要です。「会議の場合、議長を最上座とした時に、議長から見て右側が2番目、左側が3番目、以下、それを交互に続けます。これは、国際儀礼(国際間のお付き合い上のルール)における右上位の考え方に由来します。一方、中華料理店の場合は、最上座から見て左側が2番目、右側が3番目、以下、それを交互に続けるのです」(西出さん)。

 時代によって異なることもありましたが、中国の皇帝は南に向かって座っていたため、左が東、右が西となり、太陽が昇る東を上位としたため、2番目の席次は最上座から見て左になるそうです。

 ちなみに、日本で生まれた回し台は時計回りに回し、最上座の主賓から順番に料理を取っていくのがマナーです。日本では「左上位」とされているため、最上席から見て、左に回す回し台は「納得がいきます」(西出さん)。

 なお、料理の取り分け方について西出さんは「本来は自分の分だけを取り、大皿を隣の方へ回すのがマナー。しかし、それを知らない人からは、『気の利かない人』と思われてしまう可能性もあります。基本のルールやマナーの型は知識として踏まえつつ、その場の状況や雰囲気に応じて柔軟に対応することが、究極の美しいマナーと言えます」と話しています。

(オトナンサー編集部)

西出ひろ子(にしで・ひろこ)

マナーコンサルタント、マナー解説者、美道家

ヒロコマナーグループ代表。一般社団法人「マナー&プロトコル・日本伝統文化普及協会」代表理事。大妻女子大学卒業後、国会議員などの秘書職を経て、マナー講師として独立。マナーの本場英国へ。オックスフォードにて、オックスフォード大学大学院遺伝子学研究者のビジネスパートナーと1999年に起業し、お互いをプラスに導くマナー論を確立させる。帰国後、名だたる企業300社以上にマナーコンサルティングなどを行い、他に類を見ない唯一無二の指導と称賛される。その実績はテレビや新聞、雑誌などで「マナー界のカリスマ」として多数紹介。「マナーの賢人」として「ソロモン流」(テレビ東京)などのドキュメンタリー番組でも報道された。NHK大河ドラマ「龍馬伝」をはじめ、NHKドラマ「岸辺露伴は動かない 富豪村」、映画「るろうに剣心 伝説の最期編」などのドラマや映画、CMのマナー指導・監修者としても活躍中。著書は28万部突破の「お仕事のマナーとコツ」(学研プラス)、16万部を超える「改訂新版 入社1年目 ビジネスマナーの教科書」(プレジデント社) など監修含め国内外で100冊以上。「10歳までに身につけたい 一生困らない子どものマナー」「かつてない結果を導く 超『接待』術」(共に青春出版社)など子どものマナーから、ビジネスマナー、テーブルマナーなどマナーのすべてに精通。ヒロコマナーグループ(http://www.hirokomanner-group.com)。
※「TPPPO」「先手必笑」「マナーコミュニケーション」「真心マナー」は西出博子の登録商標です。

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