患者も見た目が9割? 医者は患者の「見た目」や「地位」で態度を変えるのか
こんな患者は要注意と思われる
「ただ、きれいにしすぎてもむしろ変になります。ある救急の医師が言っていましたが、『夜中に急に痛みが出て、つらくて死にそうだというのに、ばっちり化粧がしてあって、ブランドバッグを持ってきている人は注意して診察しなさい』とのことです。『緊急事態なのにこんなに着飾るなんておかしい。本当に痛むのか? まったく別の言いづらい事情があるのではないか』と疑った方がいいということです」
実は、もっと困った問題があります。患者さんの身なりや話し方次第では、「効く薬をあえて出さない」こともあるそうです。
「よくあるのが糖尿病です。悪くなったら、インスリンという注射を打つこともあります。ただ、インスリン注射は、患者さんが自分で打つものです。注射の量を間違えると意識を失ってしまうことがあります。医者としては『こちらの方が医学的には正しいが、この患者さんはだらしないし、注射を間違って打ってしまうだろう』と判断して、弱い治療で我慢することがあります」
「では、どうすればよいのでしょうか。かなり極端に見た目で判断する医者がいました。そのとき、看護師が間に入って付き添いのような立場で話を進めると、医者は普通の患者さんと同等以上にしっかり話してくれるようになりました。周りの人がクッションになり、『多少難しい話でも、横から説明して助けてくれる』と患者さんは思うようです」
一般人には分かりにくい医者の行動。しかし、これらの行動は医者の単なる怠慢ではありません。真剣に病気やけがを治そうとする結果、やむを得ずしてしまう行動もあります。私たちが正しい情報を知る努力も必要だと思われます。
(コラムニスト、著述家 尾藤克之)
コメント