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お店に忘れたブランド傘が他人のものに…取り返すことはできる?

「即時取得」の制度とは

Q.傘を取り返すにはどうしたらいいのですか。

岩沙さん「傘などの動産には法律上、『即時取得』という制度があります(民法192条)。これは、他人の所有物だったとしても、取得した時に他人の物であると気づかなかったなど落ち度がない場合には、取得した人は適法にその物の所有権を取得できる制度です。ただし、元の所有者が盗難・遺失によって占有を失った時は、即時取得が成立する場合であっても、落とした人は例外的に落としてから2年間は返還を請求できるとされています(民法193条)」

岩沙さん「今回は、傘をお店から受け取った人は即時取得が成立する可能性がありますが、元々は遺失物なので、落とした人は受け取った人に対して返還を請求することができます。ただし、法律上は取り返すことは可能ですが、事実上は困難な場合が多いかもしれません。お店から傘を受け取った人が素直に返してくれればよいのですが、そもそも誰の手に渡ったかわからないことも多いはずです。大切なものは肌身離さず持ち、しっかり管理すること、また、落し物や忘れ物には早めの対応を取ることが大切です」

(オトナンサー編集部)

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岩沙好幸(いわさ・よしゆき)

弁護士

東京弁護士会所属。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ、不当解雇、残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。近著に「ブラック企業に倍返しだ!弁護士が教える正しい闘い方」(ファミマドットコム)。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」(http://ameblo.jp/yoshiyuki-iwasa/)も更新中。頼れる労働トラブル解決なら<http://www.adire-roudou.jp/>。

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