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お店に忘れたブランド傘が他人のものに…取り返すことはできる?

お気に入りの傘を飲食店に忘れてしまい、気がついてお店に問い合わせましたが、「ほかの人にあげてしまった」と言われました。この場合、傘を取り戻すことは法的に可能なのでしょうか。

他人に渡った傘を取り戻すことはできるのか…

 法律の専門家である弁護士が、私たちの暮らしに身近な事象についてわかりやすく解説します。今回のテーマは「お店に忘れた傘は取り戻せるのか」、取材に応じてくれたのはアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士です。

「お気に入りのブランド傘を、食事に行ったお店に忘れてきてしまいました。気づいたのは1週間後なのですが、電話で問い合わせたところ、『取りに来ないのでほかの人にあげてしまった』と言われました。忘れた私も悪いけど何とか傘を返してほしい」

お店は遺失物横領罪成立の可能性も

Q.お店に忘れ物を預かる義務はないのですか。

岩沙さん「遺失物法という法律があり、お店などの施設で落とし物を拾った人は、拾った物をすみやかに施設占有者(つまりお店の人)に渡さなければならないとされています(遺失物法4条)。落とし物を受け取った施設占有者は、落とし物を保管し、落とし物を落とし主に返すか、すみやかに警察署長に提出しなければならないとされています(同法13条)。そのため、いったんはお店が忘れ物を預かる義務はありますが、保管し続けなくても警察に渡したのであれば、適切な対応をしたことになります」

Q.忘れ物を勝手に人にあげる行為は違法ではないのですか。

岩沙さん「忘れ物を勝手に処分すると、遺失物横領罪という犯罪が成立する可能性があります(刑法254条)。今回の傘は落とし主の占有を離れた物ですが、あくまでお客さんの物で、お店のものではありません。そのため、遺失物法に従って、お店は落とし物を落とし主に返すか、警察署長に渡すまで保管しなければなりません。それなのに、ほかのお客さんにあげてしまいました。お店は傘が自分のものではなく、処分する権限がないにもかかわらず、落とし主以外の人にあげてしまったため、遺失物横領罪が成立する可能性があります」

岩沙さん「公共交通機関などは、傘や衣類など大量かつ安価な物について、2週間たっても落とし主が見つからない場合は、売却などの処分をすることができるという制度があります。この制度に基づいて処分をした場合は刑法上の問題は生じません」

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岩沙好幸(いわさ・よしゆき)

弁護士

東京弁護士会所属。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ、不当解雇、残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。近著に「ブラック企業に倍返しだ!弁護士が教える正しい闘い方」(ファミマドットコム)。「弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ」(http://ameblo.jp/yoshiyuki-iwasa/)も更新中。頼れる労働トラブル解決なら<http://www.adire-roudou.jp/>。