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濃い色の「サングラス」は目に悪いって本当? サングラスの効果や選び方は? 眼科医に聞く

夏場の紫外線対策として活用する人も多い「サングラス」。ネット上では「濃い色のサングラスは目に悪い」などの見方もありますが、実際のところは――。

濃い色のサングラスは目に悪い?
濃い色のサングラスは目に悪い?

 8月も終わりを迎え、暑さが和らいできましたが、まだ日差しの強い日もあります。夏場の紫外線対策として、「サングラス」を活用する人もいると思いますが、ネット上では「濃い色のサングラスは目に悪い」などとサングラスを否定的に見る声もあります。実際のところを、サングラスの効果などとともに、眼科医の井上佐智子さんに聞きました。

紫外線による目への影響は?

Q.そもそも、紫外線は目にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

井上さん「紫外線の影響により、目の表面から眼底まで『酸化ストレス』という有害な作用が発生することが分かっています。急性疾患では、充血から『電気性眼炎』、いわゆる雪眼(ゆきめ)といわれる、角膜が傷つく病気になることがあります。慢性疾患では、白目に黄色い斑点や隆起が発生する『瞼裂斑(けんれつはん)』や、白目の組織が黒目の上を覆うように伸びる『翼状片(よくじょうへん)』になることがあります。

そのほか、老眼や白内障、黄斑変性症といった眼の中の疾患まで、さまざまな影響を及ぼすことが分かっています」

Q.紫外線対策として、サングラスを選ぶときのポイント、注意点は。

井上さん「『紫外線透過率』『紫外線カット率』というものがあります。商品にそれらが表記されている場合、『紫外線透過率』1.0%以下、『紫外線カット率』99%以上のものを選ぶのが望ましいです。また、『UV400』という表示は『波長400ナノメートルまでの紫外線をカットする』という意味です。地表に届く2種類の紫外線、UVAとUVBはそれぞれ、波長が315~380ナノメートル、280~315ナノメートルなので、『UV400』ならUVAとUVBを両方カットする意味になります」

Q.サングラスの色によって、紫外線をカットする性能に違いはありますか。

井上さん「色によって、紫外線をカットする性能に違いが出ることはありません。透明なレンズでも紫外線をカットできるものもあります」

Q.サングラスをかけると「視界が狭くなり危ない」「紫外線を見なくなることで、目の働きが衰える」といった声もありますが、それでも、サングラスはかけた方がいいのでしょうか。大人だけでなく、子どももかけた方がいいのですか。

井上さん「サングラスをかけることで視野が狭くなることはありませんが、サングラスの縁や色の濃さが問題になることもあるのかもしれません。子どもについては、紫外線が強ければ強いほど、サングラスを使用した方がよいでしょう。

明らかに紫外線が強いタンザニアでは、小児期に浴びた紫外線の影響で老眼や白内障が早期から発症し、失明している人の割合も高いことが分かっています。オーストラリアでは子どもに対し、サングラスによる紫外線対策が義務付けられています」

Q.「濃い色のサングラスは目に悪い」という声もあるようですが、本当でしょうか。

井上さん「濃い色のサングラスは光を通しにくいため、瞳孔が通常より広がります。その際、サングラスと皮膚の隙間から紫外線が入りやすい状態になり、目に悪影響を及ぼす可能性もあります。また、幼児、小児期の場合は視機能が発達途中のため、視界を遮るようなものは好ましくありません」

Q.サングラスは何年程度使えるものなのでしょうか。経年劣化したサングラスをかけ続けていると、目にどのような影響がありますか。

井上さん「使い方や頻度にもよりますが、永年的に紫外線をカットできるわけでもないようです。紫外線カット率が低下している場合もありますので、5年以上使用している場合は買い換えを見当されるとよいかもしれません」

(オトナンサー編集部)

井上佐智子(いのうえ・さちこ)

医師(眼科医)

藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)医学部卒業。慶応義塾大学医学部眼科学教室、済生会神奈川県病院眼科、日本鋼管病院眼科などを経て2014年6月、東京都世田谷区に「羽根木の森アイクリニック」を開業。日本眼科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医。

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