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腕や脚をかまれ…京都で“サル”による被害相次ぐ、自治体はどう対応している?

サルが京都市内の観光地周辺に出没し、観光客らが腕などをかまれる被害が相次いでいます。

4カ国語でサルへの警戒を呼び掛けるビラ(京都市ホームページより)
4カ国語でサルへの警戒を呼び掛けるビラ(京都市ホームページより)

 観光客でにぎわう京都市で、サルに腕や脚をかまれる被害が相次いでいます。他の地域も含め、サルは、エサを求めてたびたび観光地や街中に出没して人を襲うなど、かなりの厄介者です。こうした野生動物による被害について、観光地ではどのような対策を取っているのでしょうか。各自治体の担当者に聞きました。

特定の親子ザルが襲撃か

 京都市では2月以降、伏見稲荷大社、知恩院や南禅寺など市内の寺社仏閣周辺を中心にサルが出没し、腕や脚をかまれる人が続出しています。

 京都市文化市民局地域自治推進室の担当者に聞きました。

Q.これまでにサルの被害に遭った人の人数は。

担当者「4月23日時点で31人です」

Q.サルが観光地に出没する原因、人を襲う原因は。

担当者「2月以降、観光客へ危害を加えているのは、特定のサルの親子と思われます。この親子が出没する原因や人を襲う原因を断定することはできませんが、被害報告を聞くと、この子ザルはあまり人を怖がらないようで、観光客などが食べ物を与えようとしたり、カメラで写真を撮ろうと近寄ったりしたところに、親ザルがかみついてくるようです」

Q.以前も、市内にサルが出没していたのでしょうか。

担当者「市内の山あいの地域では、これまでにも目撃情報が寄せられていますが、今回のようにサルにかまれる被害が連続して発生したケースはほとんど聞いたことがありません」

Q.現在行っている対策は。

担当者「市民や観光客に対し、『サルを見かけてもむやみに近づかない』『写真を撮らない』といった警戒を促す4カ国語対応のチラシを付近の施設などに配布し、注意喚起の協力を依頼するとともに、市の公式ホームページに緊急情報を掲載して注意喚起しています。職員による巡回や、被害が発生したエリアの警護も民間事業者に依頼して、警戒しています」

Q.今回のように、サルなどの野生動物による被害が確認された場合、すぐに駆除できるのでしょうか。

担当者「農林業被害、生活環境被害があった場合、被害の程度を調査した上で、有害捕獲許可により野生動物を捕獲することは可能です。捕獲については『鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)』に基づく狩猟免許を保持し、捕獲許可を受け、捕獲の経験が数年以上ある狩猟者に市が依頼します」

Q.個人が自己判断で駆除、もしくは捕獲してはいけないのですか。

担当者「先述の通り、鳥獣の捕獲については鳥獣保護管理法に基づく狩猟免許、捕獲許可が必要になります。そのため、許可なく捕獲することはできません」

Q.生きたまま捕獲した場合、その後どのようにするのですか。

担当者「山林の奥深くに放します」

Q.今回、サルを駆除、もしくは捕獲する予定はありますか。

担当者「現在のところ、捕獲する予定はありません。引き続き、専門家の意見を踏まえた追い払い、観光客などへの注意喚起といった対策を行っていきます」

Q.捕獲する予定がないのはなぜでしょうか。

担当者「今回のサルは広い範囲を移動しており、捕獲が難しいためです。また、観光客が多く集まるエリアに出没しているため、サルを捕獲しようとすると、逆に興奮して周囲の観光客に襲いかかる恐れがあります。そのため、現時点では、観光客などへの注意喚起とサルを目撃した場合の追い払いにより対応しています」

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