束縛を理由に家を出た38歳男性、夫の金を使おうとする妻の“離活”に対抗した方法
離婚協議において大事なのは我慢
「結婚してから今まで苦しんできたんだから、最後くらいは! パーッと発散しないとね!」
残念ながら、妻は開き直るばかりで聞く耳を持たなかったそうです。いつまでも妻を説得できず、散財や浪費、赤字の雨嵐を垂れ流すようでは困ります。それなら、妻の承諾を得ずにカードの利用や口座引き落とし、アパートの賃貸契約を停止したいところですが、可能なのでしょうか。
まずカードですが、銀行やクレジット会社などへ紛失届を提出すれば大丈夫です。そうすれば、妻が持っている旧カードが無効になり、紛失届を取り下げない限り、妻はカードを利用することができません。そして、夫が新しいカードを再発行すれば、日々の生活に困ることもありません。
次に口座引き落としですが、その口座を作った銀行は各種の引き落としを一元管理しているので、銀行の支店において、引き落としを停止することができる場合があります。もしくは、公共料金なら電気、ガス、水道の各社で引き落とし停止の手続きを行うことが可能です。これは携帯会社も同様ですが、夫(世帯主)が妻(家族)を家族割から抜いたり、今後は夫(世帯主)ではなく妻(本人)が自分の料金を支払うように変更したりすることは妻の同意なく可能です。
そして家賃ですが、明人さんの口座から家賃が引き落とされているのは明人さんが賃貸契約者だからです。大家(不動産業者)との間で結んでいる賃貸契約を解約すれば、明人さんは賃貸契約者ではなくなるので今後、家賃を支払う必要はありません。問題は、妻が住んでいるのに解約してもよいのかどうかですが、離婚後、妻を住まわせておくつもりがなければ、遅かれ早かれ妻は出ていかなければなりません。
退去の可否という問題は別居時、離婚時のどちらかで直面します。それなら、別居時に向き合った方がよいでしょう。もちろん、専業主婦の妻が働き始め、自分の収入で家賃を支払えるのなら、今度は妻が大家(不動産業者)との間で賃貸契約を結び直せば、今の家に住み続けることが可能です。どうしても家賃を支払えないのなら、今の家は身分不相応なのでもっと家賃の安い家に移ったり、友達と部屋をシェアしたり、実家に戻ったりしなければなりません。
何かと何かを相殺したり、クレジット払いで後回しにしたり、出費を立て替えたりするのは健全ではありません。やはり、単純明快な現金主義が一番です。明人さんはカードの再発行、引き落としの停止、賃貸契約の解約によって「妻へ毎月9万円の現金を渡す」という約束を取り付けることを実現したのです。これにより、明人さんの毎月の負担は何があろうと9万円だけ。それ以上でもそれ以下でもありません。
今回は妻の離活の典型例…妻が夫のカードを使う、妻の生活費を夫の口座から引き落とす、妻が住む家の家賃を夫が支払う、という3つへの対処法を紹介してきました。
ところで、離婚協議において大事なのは我慢です。なぜなら、夫婦間の力関係は離婚に積極的な方が下、消極的な方が上だからです。我慢しきれずに「もう離婚するしかない!」と口走るのは危険すぎます。なぜなら、離婚するかどうかの選択権が妻に渡ることを意味するのだから。その結果、妻の言い値(養育費や慰謝料、財産)を受け入れない限り、相手は離婚に同意せず、離婚は成立しないという最悪の展開をたどります。まさに飛んで火に入る夏の虫という感じで。
このように考えると、有利な条件で離婚するには「離婚だ!」と自分から言わず、妻に言わせるのが正解です。妻が「おいで、おいで」という感じで手ぐすね引いて待っているところに挑むのは、釣りざおのエサに食いつく魚と同じですが、返り討ちに遭うのは必然でしょう。なぜなら、武器を持ち、防具を付け、準備万端の妻に丸腰で挑むのだから。
つまり、事前準備の有無が勝敗を分けると言っても過言ではありません。しかし、2009年の流行語大賞から10年が経過した今も「夫の離活」はほとんど浸透していないのが現状です。「妻の離活」の“上の上”を行かなければ勝ち目はありません。
(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)


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