束縛を理由に家を出た38歳男性、夫の金を使おうとする妻の“離活”に対抗した方法
カードや引き落としを止めなければ「9万円」は空手形
次に2つ目の「妻の生活費を夫の口座から引き落とす」ですが、妻1人の生活費で1桁違う金額に膨れ上がることは考えにくいです。
「大丈夫です。水道光熱費なんて、たかが知れているから」
明人さんはそう口にしますが、問題は「携帯代」です。携帯会社にはケータイ払いという方式があります。これは純粋な携帯電話の料金だけでなく、他のサービスの利用料も携帯代と一緒に請求することができ、家族割の場合、家族の「携帯以外の料金」も世帯主の口座から引き落とされます。
例えば、ソーシャルゲームアプリにハマってガチャを回し続けたり、ケータイ払いを利用できるネットショップで高価なジュエリーを買いあさったり、飲食店で高級フレンチを堪能したり、年代もののワインをしこたま飲んだりしたら…このような散財の数々が妻ではなく夫の口座から差っ引かれるのだから、たまったものではありません。
もし、アタシのお金はアタシのお金、アイツのお金もアタシのお金という感じの妻だったら…「おかしなマネはしないだろう」と信じて任せるのは無理です。各種のカードやケータイ払いによる散財のツケを払わされるだけならまだしも、最悪なのは妻が「別居していても籍を入れている限り、夫の金は使い放題」と勘違いし、一転して離婚を拒み始めるパターンです。
もちろん、正しくは使い放題ではなく「月9万円」ですが、妻に夫のカードを使わせたり、妻の生活費を夫の口座から引き落としたりするのをやめさせなければ、いくら正論を言っても無駄です。
そして3つ目は「妻が住む家の家賃を夫が支払う」ですが、前述の通り、別居中や離婚協議中であっても、収入のある夫は収入のない妻に対して生活費を支払わなければなりません。妻が住んでいる家の家賃は毎月8万円で、今まで賃貸契約者である明人さんの口座から引き落としてきました。そして、特に手続きをしていないので、すでに明人さんは住んでいないのに別居後も明人さんの口座から引き落とされています。
「それなら、家賃を生活費から引けばいいんじゃないですか?」
明人さんは能天気なことを言いますが、生活費の相場は毎月9万円なので家賃の8万円を差し引き、残りの1万円だけ妻に渡せばいいという理屈です。しかし、口座引き落とし分を生活費から差し引くことは原則、認められません。なぜなら、明人さんの言う通り、「夫が妻に毎月1万円を現金で渡す」と約束した場合、家賃の引き落としを止めた場合、明人さんは毎月1万円しか渡さなくてもよいからです。このままでは明人さんは「家賃9万円+生活費8万円=17万円」を負担せざるを得なくなりますが、明人さんはすでに自分用のワンルームを毎月7万円で借りています。
「僕の手取りは30万円ですよ。これじゃ赤字じゃないですか?」
明人さんは声を荒らげますが、これらの支出だけで毎月24万円もかかり、自分の生活費(食費、水道光熱費、携帯代など)もかかるので毎月の収支はマイナスです。毎月の赤字をボーナスで補填(ほてん)しなければならない危機的な状況に至れば、離婚するまでの間に干上がってしまいます。少なくとも家賃の2重払いは避けなければなりません。
ここまで、妻に夫のカードを使わせる、妻の生活費を夫の口座から引き落とす、妻が住む家の家賃を夫が支払う、という離活の手口について見てきましたが、夫側はどうしたらよいのでしょうか。もちろん、妻の承諾を得るべく、きちんと事情を説明し、説得を重ね、事の重大さを理解させるのが理想ですが、妻はどんな反応をしたのでしょうか。
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