「早食い競争」で死亡、安全管理と自己責任の境界線はどこにある?
滋賀県で行われた「おにぎり早食い競争」に参加した男性が、おにぎりをのどに詰まらせ死亡したとされる事案。主催者側は「安全に配慮しており問題はなかった」という見解だそうですが、安全管理と自己責任の境界線はそう単純ではありません。

JA東びわこ(滋賀県彦根市)が先日開いたイベントで、「おにぎり早食い競争」に参加した男性がおにぎりをのどに詰まらせ救急搬送、3日後に死亡したとされる事故――。
報道によると、競争はおにぎり5個を用意し、3分以内に食べられる量を競うルールで、男性は5個目を口に入れ終わった後に倒れたといいます。JA側は謝罪しましたが、「お茶を用意するなど安全に配慮しており問題はなかった」との立場だそうです。
「安全管理」と「自己責任」の境界線はどこにあるのか――。オトナンサー編集部では、今回のようなケースでイベント主催者側の法的責任が問われるのかどうかについて、アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に取材しました。
責任の決め手は「注意義務違反」の有無
岩沙さんによると、主催者側の刑事上の責任としては、主催者や関係者に「重過失致死罪」などが成立する可能性があるそう。一方、民事上の責任としては、主催者や関係者が安全配慮義務違反や不法行為に基づく、損害賠償責任を負う可能性があるといいます。
ただし、激しい動きを伴う祭りで発生した死亡事故などについても、毎回責任が問われているわけではなく、岩沙さんは「今回のような早食い競争は、そのようなお祭りよりも危険性が低いと考えるのであれば、主催者側の責任が認められない可能性もあります」と指摘します。
それでは、責任が認められる決め手や罪・責任の程度はどのようなものでしょうか。
刑事と民事では当然、判断基準は異なるそうですが、「ざっくりと言うと注意義務違反があったかどうかが重要」。死の危険を予測できたか、さらにそれを避けるために何らかの安全対策を取っていたかがポイントだそうです。
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