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トランプ氏勝利で発動、日銀「指値オペ」にはどんな意味があるのか

金利上昇続けば「際限なく購入」の可能性も

 それでは今回、日銀が指値オペに踏み切った背景は何でしょうか。

 西田さんによると、日銀は今年9月の段階で「金利が上昇した場合などに、10年物金利と20年物金利を対象に指値オペを実施する用意がある」と明記していたとのこと。「足元では、米大統領選でのトランプ氏勝利を受けて世界的に長期金利が大きく上昇し、日本の長期金利にも上昇圧力が加わっていました」。

 そもそも、長期金利は金融政策のみならず、財政状況や海外情勢などさまざまな要因によって決定されるため、中央銀行がコントロールするのは難しく、市場に任せるべきだ、との考えが一般的でした。日銀も少し前まで、そのことを認めていたといいます。

 しかし、日銀が国債の大量購入を続ける中で、「マイナス金利と大規模な国債買い入れの組み合わせ」が長短金利全体に影響を与える上で有効と認識され始めた、という背景があるようです。

 では、この指値オペに“死角”はないのでしょうか。

 西田さんは「長期金利のコントロールが本当にできるのかどうかが問題。世界的に長期金利の上昇が続き、日本の長期金利にも大きな上昇圧力が加わった場合、日銀は際限なく国債を買わなければならなくなる可能性があります」と指摘します。

 一方で、急激な円高や株価の大幅下落など何らかの理由で長期金利に大きな下落圧力がかかった場合、日銀は指値オペで国債を売却する必要に迫られるかもしれません。「その場合は、市場が『日銀は金融引き締めに転じた』と誤って受け止めてしまう可能性もあります」。

(オトナンサー編集部)

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西田明弘(にしだ・あきひろ)

株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)市場調査部チーフエコノミスト

1984年日興リサーチセンター入社。米ブルッキングス研究所客員研究員などを経て、三菱UFJモルガン・スタンレー証券入社。チーフエコノミスト、シニア債券ストラテジストとして高い評価を得る。2012年9月マネースクウェア・ジャパン(M2J)入社。現在、M2Jのウェブサイトで「市場調査部レポート」「市場調査部エクスプレス」「今月の特集」など多数のレポートを配信するほか、テレビ・雑誌などさまざまなメディアに出演し活躍中。株式会社マネースクウェア・ジャパン(M2J)(http://www.m2j.co.jp)。

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