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【医学部不正入試】不正による不合格者は損害賠償請求できる? その範囲や慰謝料は?

刑事事件になる可能性は?

Q.不正の有無にかかわらず不合格だった受験生は、損害賠償請求できるのでしょうか。もしできるなら、どの範囲まででしょうか。

刈谷さん「不正の有無にかかわらず不合格だった受験生も、損害賠償請求できるとは思われます。しかし、合否の当落線上にいた受験生とは、受けた損害の範囲に差が出てくるのではないでしょうか。

たとえば、すべての不合格者は、このような不正があることを知っていたならば受験しなかったと考えるはずですから、受験料や交通費など受験に関する費用は損害と言えるでしょう。しかし、前述の通り、浪人したことによって発生した予備校費用については、不正の有無に関係なく不合格であったことを考えると、認められないと思われます。

慰謝料に関しては、被った精神的苦痛は、不正がなかったならば合格していたか否かに関係なく認められるものですから、当落線上の不合格者と異なるところはありません。一定の範囲で認められる可能性が高いです」

Q.入試不正が刑事事件になる可能性はありますか。

刈谷さん「刑事事件になり、詐欺罪(刑法246条)に問われる可能性はあります。具体的には、多数の受験生から受験料を集める目的の下、あえて不法行為となりうる合格判定や点数操作を受験者に伝えず、受験生に公正な入試であると誤信させ、受験生に受験料を支払わせたと言えるような場合、詐欺罪が成立する可能性があります。ただし『あくまで理論上は』であり、実際に受験料をだまし取る意図はなかったでしょうから、犯罪は成立しないでしょう」

Q.過去に大学入試の不正を巡って、損害賠償や慰謝料支払いにまで至った例や、刑事事件となった例があれば教えてください。

刈谷さん「大学入試の不正に関する判例はありませんでした。ただ、年齢を理由に不合格にされたとして、50代の女性が大学を訴えた訴訟の判例はあり、『年齢による差別があったとは認められない』として訴えは棄却されています」

(オトナンサー編集部)

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刈谷龍太(かりや・りょうた)

弁護士

1983年千葉県生まれ。中央大学法科大学院修了。弁護士登録後、都内で研さんを積み、2014年に新宿で弁護士法人グラディアトル法律事務所(https://www.gladiator.jp/)を創立。代表弁護士として日々の業務に勤しむほか、メディア出演やコラム執筆などをこなす。男女トラブル、労働事件、ネットトラブルなどの依頼のほか、企業法務において活躍。アクティブな性格で事務所を引っ張り、依頼者や事件に合わせた解決策や提案力に定評がある。

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