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賛否ある「猫に服を着せる」問題 「かわいいからよし」の声もあるけど…悪影響はないの?【獣医師解説】

服を着ている猫の姿はかわいいものですが、「かわいそう」「かわいいからよし」など賛否が分かれているようです。着せることで悪影響はないのか、獣医師に聞いてみると……。

「猫に服を着せる」問題、獣医師の回答は…
「猫に服を着せる」問題、獣医師の回答は…

 普段、一緒に暮らすペットに服を着せている人は多いと思います。服を着ているペットの姿はとてもかわいいものですが、猫の場合、「服って必要なの?」「かわいいけど、猫にとってはいらないと思う」「防寒で着せるのは大事じゃない?」「悪影響ないの?」「かわいそうだと思う」「猫のストレスになりそうな気が…」「かわいいからよし」など賛否が分かれているようです。

 さまざまな意見がありますが、実際のところ、猫に服を着せることは問題ないのでしょうか。ますだ動物クリニック(静岡県島田市)院長で獣医師の増田国充さんに教えていただきました。

犬より必要性が低いけど…

Q.猫に服を着せることで、猫にとってどんな影響があると考えられますか。

増田さん「猫は犬に比べると、服を着る必要性が低い傾向があります。猫は犬と比べて品種による体格差や身体的特徴がそれほど大きくないほか、毛づくろいを日常的に行っているため、被毛や皮膚のコンディションを保っていることが理由として挙げられます。

とはいえ、服を着用することがよいとされることもあります。先述した毛づくろいについてですが、アレルギーや皮膚病が原因で、過剰に毛づくろいをしてしまうことがあります。猫の舌はザラザラしていて、毛づくろいのし過ぎで脱毛したり、皮膚を傷めたりすることがあります。それを予防する目的で服が役立つことがあるのです。

その他、手術後、皮膚を縫い合わせますが、抜糸までの間は患部に負担をかけないようにするため、服を着せておくよう獣医師から指示が出ることがあります。また、体温低下を生じやすい老齢、栄養状態が整っていない猫では、体温調整の一助として服を活用することがあります。

一方で、服を着ることが猫にとってストレスと感じることがあります。体を動かす際にわずかながら制限がかかることがあるので、運動をはじめとした活動に影響が出ることがあります」

Q.特に、服を着せた方がよい猫種、着せない方がよい猫種はありますか。

増田さん「スフィンクスやデボンレックスのように被毛が極めて少ない、あるいはシングルコートのみで短毛な品種や、シャムなどの細身で原種に近い品種は、冬の寒い時期に服が必要となることがあるかもしれません。

逆に、寒い地方にルーツを持ち、ダブルコートかつ長毛種、例えばメインクーンやノルウェージャンフォレストキャットなどは、防寒を目的とした服を着る必要がない品種といえるかもしれません」

【写真】「ちょっと待って…かわいすぎるんですけど…!」 カメラに向かって“全力”の猫パンチをお見舞いする猫たち(16枚)

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増田国充(ますだ・くにみつ)

獣医師

北里大学卒業。愛知、静岡県内で勤務後、2007年にますだ動物クリニックを開院。一般診療のほか、専門診療科として鍼灸や漢方をはじめとした東洋医療を行っている。国際中獣医学院日本校事務局長兼中国本校認定講師、中国伝統獣医学国際培訓研究センター客員研究員、日本ペット中医学研究会学術委員、AHIOアニマルハーブボール国際協会顧問、専門学校ルネサンス・ペット・アカデミー非常勤講師。ますだ動物クリニック(http://www.masuda-ac.jp)。

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