死期が近づいた猫の切ない行動「姿を隠す」は“家猫”にも当てはまる? 獣医師に聞いた
「いつかは必ず」と分かっていてもつらく悲しい愛猫との別れ。猫は「死が近いことを悟ると、姿を隠す」といわれますが、実際はどうなのでしょうか。獣医師に聞きました。

いつかは必ず訪れる……そう分かっていても、愛猫との別れほど悲しくつらいものはありません。猫は「死が近いことを悟ると、姿を隠す」といわれることがありますが、実際、死期が近づいた猫はどのような行動・サインを見せることがあるのでしょうか。そして、飼い主はそのサインにどう気付き、最期の時を迎える準備をすればよいのでしょうか。ますだ動物クリニック(静岡県島田市)院長で獣医師の増田国充さんに教えていただきました。
衰えているさまを家族に見られないように…
Q.死期が近いとき、猫に何らかの行動や変化がみられることがあるといわれます。特に猫は「死が近いことを悟ると、姿を隠す」ともいわれますが、実際はどうなのでしょうか。
増田さん「愛猫も、私たちと同じ“命もつもの”である以上、最期は必ず訪れます。その時が近づいたときに、何らかのサインを出すことがあります。
猫の場合、自身の姿を隠そうとする変化がみられるかもしれません。これは、もともと猫が持つ本能に関連していることがあり、自身の不調を隠し、身を守ろうとする行動の一つと考えられています。おうちで生活する猫であっても、自身が弱り、衰えているさまを、ご家族に見られないようにしている可能性があります。
これ以外にも、患っている病気の種類により体に現れる変化はさまざまですが、眠っている時間が長い、呼吸が浅く速い、粗相をする、下痢や嘔吐(おうと)、食欲の低下といった変化が現れることが多いです」
Q.飼い主がなるべく早く気付いておきたい「死期が近いサイン」はありますか。
増田さん「死期が近い時は全身の機能が低下していくので、水や食べ物を口にしなくなることが多いと考えられます。代謝が落ちているため、体温の低下や血色の変化(鮮やかなピンクではなく、白や薄紫のような色の変化がみられることがある)が確認されることもあります。
また、猫では慢性腎臓病を患うことが多い傾向にあります。尿毒症に進行すると、これまで多く排せつされていた尿が減り、吐き気や下痢、口臭がみられます。意識がもうろうとしたり、寝ている時間が多くなったりすることもみられるでしょう。何となく、『いつもと様子が違う』と感じることがあるかもしれません」
Q.死期が近い猫と過ごす際に飼い主ができること、また、最期まで愛猫らしく過ごさせるためにできるケアとは。
増田さん「最期の時を迎えるにあたって、静かに過ごせることを望む人が多いと思います。長期にわたって闘病している猫も多いと考えられます。おうちでは、ゆっくり過ごせるよう、また猫自身の空間が確保できるようにご配慮いただけるとよいかもしれません。
体温調節機能が低下していることが予想されるので、季節に応じて温度調節をすることで、負担を軽減できることがあります。飲み水や食事は取れることが望ましいのですが、無理に与えようとして誤嚥(ごえん)を招かないように注意が必要です。
最期を迎えるにあたり、悲しみや不安を抱えるご家族の方が多いことと思います。そのお気持ちを誰かにお話しすることで落ち着きが得られることがあります。また、個々に適した過ごし方は、体の状態によって異なることがあるため、かかりつけの動物病院に相談・連携して、少しでも苦痛とならないよう、ねぎらいながら天国へ送り出してあげたいものです」
(オトナンサー編集部)
猫だけ特別はおかしい。
ゴミと同じでいい。