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「温泉」の入浴前、体&髪を洗った方がいいの? 上手な入り方&注意点とは 専門家が解説

温泉に入るときの注意点やお勧めの入浴法について、温泉ソムリエが解説します。

温泉の上手な入り方とは?
温泉の上手な入り方とは?

 ゴールデンウイーク(GW)中に温泉旅行に行く予定がある人は多いと思います。温泉に行ったときに体や頭を洗ってから温泉に入るべきなのか、迷った経験はありませんか。温泉に行ったときはどのような方法で入浴するのがよいのでしょうか。入浴時の注意点も含め、温泉ソムリエの根岸花さんが解説します。

空腹のまま入浴するのはNG

 温泉に入る際は、次の4点を必ず徹底してください。

(1)食後にすぐに入浴しない
食後すぐに入浴すると消化不良を起こし、胃腸の調子が悪くなる恐れがあります。食後に入浴する場合は、最低でも1時間ほど休んでからにしてください。

(2)飲酒後に入浴しない
お酒を飲んだ後に入浴すると血圧が変動し、脳卒中や心臓発作などを引き起こす恐れがあるといわれています。飲酒後の入浴は絶対にやめてください。また、入浴直後は体から水分が失われており、お酒を飲むと脱水症状になる可能性があります。入浴後にお酒を飲む場合は少し時間を空けてからにしましょう。

(3)空腹のまま入らない
空腹の状態で温泉に入浴すると、貧血や低血糖の恐れがあります。実は入浴による消費カロリー量は大きく、例えば10分間入浴すると、ウオーキング10分間分のカロリー、ランニング10分間分のカロリーを消費します。

そこで、入浴前に適度なカロリーを補給しましょう。まんじゅうのような糖分が含まれた食べ物を摂取すると入浴時の低血糖を予防できます。軽食後、15分ほど休んでから入浴に行くのがよいです。

(4)入浴前後は必ず水分を補給する
入浴時は体から水分が失われるため、入浴の前後に必ずグラス1杯分の水を摂取してください。

私は入浴前、グラス1杯分の水のほかに緑茶を飲むのをお勧めします。なぜなら、緑茶には抗酸化作用を持つ「カテキン」が含まれており、入浴前に飲むことで美肌効果が期待できるからです。緑茶を飲んでから30分後に入浴すると、カテキンの吸収力が7倍に向上するといわれています。このほか、緑茶を飲むと血液の流れが良くなり、血がサラサラになります。

体を洗う前に入浴するのがお勧め

 人によって好みがあるとは思いますが、温泉は次の手順で入浴するのがお勧めです。

(1)まず掛け湯をする
(2)温泉に3~5分つかる
(3)温泉から上がり、浴場内の椅子やシャワーの前などで少し休憩後、体を洗う
(4)温泉につかる
(5)休憩後、髪を洗う
(6)温泉につかる。この後、休憩と入浴を交互に繰り返す
(7)更衣室に行く前に上がり湯をする
(8)更衣室で体をよく拭く。必要に応じて保湿クリームで体を保湿する

(1)まず掛け湯をする
入浴前は「掛け湯」を行い、体に付いた汚れを落とすのがマナーです。また掛け湯は、温泉の泉質や温度に体を慣れさせる上でも重要です。たいていの温泉旅館には掛け湯のコーナーが設けられています。

掛け湯をする際は、足先のように心臓から離れた部位から順番にお湯を掛け、最後に頭や背中に掛けましょう。その際、周囲の人にお湯がかからないよう、しゃがんだ状態で行うのがよいです。掛け湯のコーナーが設けられていない場合はシャワーで体を洗い流しましょう。

(2)温泉に3~5分つかる
温泉の泉質によって異なりますが、多くの温泉の温度は34~42度であり、温泉旅館の場合、「40度」「42度」といった形で、異なる温度の温泉が複数設けられているのが一般的です。温度は浴場内の看板や温度計などで表示されているので、確認しましょう。

掛け湯をしたら、まずは温度が低い温泉から入るようにしてください。最初から42度を超えるお湯に入ると、体に負担がかかるためお勧めしません。また、内風呂と露天風呂が両方ある場合、寒暖差による体への負担を考慮し、まずは内風呂から入りましょう。

入浴時は体への負荷を最小限に抑えるため、いきなり全身浴をするのではなく、足→半身浴→全身浴の順番で入ってください。

5分以上入浴すると湯あたりの原因となります。入浴時間の目安は37~39度の温泉であれば5分、40~42度の温泉であれば3分です。風呂から上がる際に一気に立ち上がると体に負荷がかかります。半身浴、足湯を経てゆっくり立ち上がるのがポイントです。

(3)温泉から上がり、浴場内の椅子やシャワーの前などで少し休憩後、体を洗う
入浴したら少し休憩し、体を洗いましょう。掛け湯をした後、髪と体を洗ってから初めて温泉に入る人もいるとは思いますが、その方法は気温が高い夏を除き、お勧めしません。なぜなら、髪や体を洗っただけでは体がそれほど温まっておらず、その状態でいきなり温泉に入るとヒートショックになる可能性があるからです。

特に露天風呂がある温泉旅館の場合、どうしても外気が浴場に入ってきますし、室内の浴場から露天風呂への移動時に体が冷えてしまいます。浴場に入って掛け湯をしたら、3~5分ほど温泉につかり、その後で体を洗った方が寒さを感じにくくなるでしょう。

 体を洗ったら「温泉につかる」→「休憩後、髪を洗う」→「温泉につかる」の順番で進めるとよいです。私は、入浴と休憩を交互に行う「分割湯」をお勧めしていて、温泉から違う温泉に入るまでの休憩のタイミングで体や髪を洗うことが体にも優しく、効率的であると考えています。

【要チェック】これが温泉に入るときに守るべき“鉄則”です(画像4枚)

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根岸花(ねぎし・はな)

温泉ソムリエ

2000年1月25日生まれ。温泉、銭湯など年間約100軒の入浴施設に通うほどの風呂好きで、温泉ソムリエを取得。SNSで自身の“風呂活”を随時発信している。現在、ダンス講師をやりながら舞台、ドラマに出演するなど、女優としても活動中。

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