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好きなタイミングでOK! 5市町村に無料で暮らせる移住プログラムが人気、なぜ企画?

「好きなときに訪れ、好きなときに移住し、好きなときに帰っていい」をコンセプトにした、少し変わった体験移住プログラムに多数の応募者が集まっています。

地域の「暮らし」に触れることで、移住したい気持ちが芽生える(どこでも移住実行委員会・事務局提供)
地域の「暮らし」に触れることで、移住したい気持ちが芽生える(どこでも移住実行委員会・事務局提供)

「好きなときに訪れ、好きなときに移住し、好きなときに帰っていい」をコンセプトにした、少し変わった体験移住プログラムに応募者が多数集まっています。8月23日に募集を始め、定員40人程度のところに100人を超える応募があるほどの盛況ぶりです。どのようなプログラムなのか、主催者に取材しました。

家賃は無料、体験移住のハードル下げる

 この体験移住プログラムは「どこでも移住」。長野県木曽町、福井県鯖江市、徳島県阿波市、長崎県壱岐市、沖縄県国頭村の5市町村の地域おこし協力隊員などが協力して始め、2018年10月1日~2019年3月31日の半年間、5市町村を移り変わりながら、家賃無料で「暮らし」を体験できます。今回が初めての実施です。

 起業支援や就農支援はありませんが、必要であれば、各地のコーディネーターが空き家探しや人脈作りをサポートします。主催者の一人であり、福井県鯖江市に移住した「どこでも移住実行委員会・事務局」の森一貴さんに、きっかけなどを聞きました。

Q.「どこでも移住」を始めようと思ったきっかけは。

森さん「私は大学を卒業後、東京のコンサルティング会社で1年半働き、3年前に鯖江市へ移住しました。その間ずっと『幸せとは何か』を考え続け、幸せとは『誰もが自由に自分の幸せを選べること』であり、同時に『自分の幸せを無条件に承認されていること』という結論に辿り着きました。

移住当事者として感じた課題を解消し、移住のハードルを下げることで、『住む場所の自由』を実現しようと生まれたのが『どこでも移住』です」

Q.移住当事者として感じた課題とは。

森さん「3つあります。1つ目は『地方移住の選択肢多すぎ問題』。体験移住事業は多くの市町村で行っており、希望者が絞り込むのに苦労します。2つ目は『地方の囲い込み問題』。受け入れ側には、囲い込みの意識が強いところが多いです。一方、参加者の側は『体験移住プログラムに参加すると地域側の移住の期待が高まり、迷惑をかけるのでは』と感じ、参加しづらいというものです。

3つ目は『誰も知らない問題』。誰も知らない土地にいきなり飛び込むのは怖いもの。地域とつなぐ人材が必要だと思います」

Q.なぜ、この5市町村なのですか。

森さん「5市町村は地域がバランスよく散らばっていますが、実はこちらから声をかけたわけではありません。『もっと住む場所を自由に選べる社会を作りたい』というコンセプトをSNSなどで発信していたところ、共感してご連絡を頂いたり、知人につないでもらったりした結果、参加が実現しました」

Q.これまでの体験移住プログラムと異なる点は。

森さん「場所を移っていけることや、すべきことのルールがない、といった点もありますが、それ以上に『いつでも来て、いつでも帰ってよい』ということ、『暮らしを体験できる』ことが違うと思っています」

Q.「暮らしを体験できる」とは。

森さん「これまでの体験移住は2泊3日といった短期が多く、観光など非日常のことしか体験できないケースが多いと感じています。移住体験は本来、暮らしを営む中で地域の人々や移住仲間と付き合い、『ああ、ここでなら生きていけるかもしれない』との思いに至るプロセスだと考えています」

Q.住居はどのようなところですか。

森さん「鯖江市や木曽町、壱岐市では、シェアハウス形式で地域おこし協力隊などの個人が居住する物件に、国頭村と阿波市では、体験移住施設に入居していただきます」

Q.応募状況はいかがですか。

森さん「想像をはるかに超える反響に驚いています。既に100人以上の参加希望を頂いています。『体験移住はしたいがハードルが高い』と思っていた人が多かったことを示していると考えています」

Q.今後、拡大していく考えはありますか。

森さん「どこでも移住が解決したい課題の一つが、『体験移住の選択肢多すぎ問題』なので、拡大はしません。半年ごとに、参加市町村を変更しながら開催していきます。住む場所の自由を作るという観点から、大都会や海外への体験移住も視野に入れて移住先を検討します」

(報道チーム)

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