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「腹八分目は健康にいい」説、実際どうなの? 内科医に聞いて分かった“真偽”

満腹になるまで食べるより、「腹八分目」にとどめておくのが「健康にいい」とよくいわれます。しかしこの“説”、果たして事実といえるのでしょうか。内科医が解説します。

本当はおなかいっぱい食べたいけど…
本当はおなかいっぱい食べたいけど…

「腹八分(腹八分目)に医者いらず」。そうした言葉もあるように、食事の際はおなかいっぱい食べるよりも「腹八分目」にとどめておくのが「健康にいい」と、昔からいわれてきました。しかしこの“説”、「なんで?」「本当にそうなの?」と疑問に思ったことはありませんか。

 そこで、「腹八分目は健康にいい」説は医学的に本当といえるのかどうか、eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんが解説します。

「満腹になるまで」はデメリットの方が上回る

 結論からいうと、「腹八分目は健康にいい」というのは事実です。

 実際に、マウスやサルの実験では「腹八分目で寿命が延びる」という報告があります。人間に当てはまるかどうかはまだ解明されていませんが、食事量をセーブすることで肥満の予防・改善、血糖値や中性脂肪、コレステロールなどの数値の改善が期待できます。

 過度に摂取量を制限すると栄養バランスが崩れてしまい、必要な栄養素も不足するため、体への悪影響が考えられますが、“腹八分目”であれば問題ない範囲といえるでしょう。

 一方で「腹八分目では足りない」「おなかいっぱい食べたい!」と考える人も少なくないでしょう。しかし、満腹になるまで食べる場合は、デメリットの方が上回ると考えられます。

 というのも、満腹まで食べることで、カロリー過多による肥満や脂質異常症、2型糖尿病、塩分過多による高血圧などのリスクが上がるからです。

 さらに、満腹によって「逆流性食道炎」を誘発しやすくなるといったことも考えられます。逆流性食道炎は、食道と胃のつなぎ目の筋肉が緩んで、胃から食道へ胃酸が逆流することで起こります。そのため、食べ過ぎると胃の内圧が上がってつなぎ目の筋肉が緩み、胃酸が逆流しやすくなるのです。

 満腹になるまで食べるメリットとしては、おなかいっぱい食べることで、精神的に満足することくらいでしょうか。

 となると、食事の際はやはり「腹八分目」を意識するとよいといえます。しかし中には、食事中・食事後に自分が「腹八分目」かどうか、何を目安に判断したらいいのか分からない……という人もいるかもしれません。

 腹八分目は、満腹と感じる前に食事を終えることを指します。そのため、「まだもう少し食べられるな」という感覚を目安にするとよいでしょう。

 また、早食いなどで一気に食べると、満腹中枢が働く前に多くの食べ物が胃に入ることになるため、“食べ過ぎ”の状態になってしまいます。そうなると腹八分目の判断が難しくなり、ストップがきかなくなるのです。食事の際は満腹中枢を刺激しやすくなるよう、「よくかんでゆっくりと食べる」ことを意識してみてください。

(オトナンサー編集部)

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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