子どもの砂糖摂取量、1日の上限は? 肥満を防ぐには? 糖尿病歴30年の専門医が解説
子どもが1日に摂取してもよい砂糖の量は、どの程度なのでしょうか。糖尿病歴30年の専門医に聞きました。
子どもは、お菓子やジュースなどの甘い飲食物を好んで摂取する傾向にあります。夕食前にお菓子を食べさせたり、ジュースを飲ませたりすると、夕食を食べなくなることが多いので注意が必要です。
ところで、子どもが1日に摂取してもよい砂糖の量は、どの程度なのでしょうか。肥満や糖尿病を防ぐには、どのような食生活が望ましいのでしょうか。自身も1型糖尿病歴30年で、著書に「血糖値を自力で下げるやり方大全」(フォレスト出版)がある、内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。
20グラムを目安に
Q.そもそも、毎日、子どもが甘い物を食べ続けた場合、どのようなリスクが想定されるのでしょうか。
市原さん「子どもが砂糖を摂取し過ぎた場合、虫歯や肥満などのリスクを上げるので注意が必要です。2型糖尿病の子どもの場合、肥満体形であるケースがほとんどなので、肥満にならないような生活習慣を心掛けることが大切です」
Q.では、子どもが1日に摂取してもよい砂糖の量は、どの程度なのでしょうか。
市原さん「米国心臓病学会は、子どもの砂糖の摂取量について、1日25グラム未満を推奨しています。また、世界保健機関(WHO)は、大人の場合で1日25グラム未満を推奨しています。
日本の子どもは、アメリカの子どもよりも体格が小さいことなどを考慮し、1日当たりの砂糖の摂取量は、未就学児で10グラム、小学生以上で20グラム程度を目安にしてください。例えば、砂糖20グラムを目安とした場合、ジュースは200ミリリットル、クッキーは2~3枚、ケーキは1個弱です。未就学児はこの量の半分が望ましいことになります。
このように、甘い食べ物は、1種類で砂糖の1日の摂取量が上限に達します。間食の際は、お菓子とジュースを組み合わせるのではなく、『お菓子とお茶』といったように、甘い食べ物は1種類にとどめるよう意識してください」
Q.子どもの肥満や糖尿病を防ぐには、どのような食事が望ましいのでしょうか。子どもが肥満気味の場合、炭水化物を制限しても問題ないのでしょうか。
市原さん「子どもは成長期なので、過度なカロリー制限をしてはいけません。肥満を防ぐために一番大切なことは、食物繊維、たんぱく質、炭水化物をバランス良く摂取することです。食物繊維は野菜や海藻類、たんぱく質は肉や魚、大豆、炭水化物は米類やパン、麺類にそれぞれ多く含まれています。
子どもが喜ぶのでどうしても肉料理が多くなると思いますが、肉は脂肪も多く含み、揚げ物にすると余計に脂質が多くなり、カロリーオーバーとなります。肉ばかりにするのではなく、魚や豆腐も食べる習慣をつけるためにも、おいしく食べさせる工夫をしてみてください。
間食としてお菓子を食べさせるのであれば1日1回にし、先述のように、砂糖の摂取量は未就学児で10グラム、小学生以上で20グラム程度にとどめてください。食べた後は、外でしっかりと遊ばせましょう」
Q.甘い物を食べるのが習慣となっている子どももいるようです。甘い物を好む子どもの食生活を改善するには、どのような方法が効果的なのでしょうか。
市原さん「子どもの肥満は、親の食生活が大きく影響しています。まずは、『甘い食べ物を常に大量にストックしていないか』『親も一緒にお菓子をよく食べていないか』といったことがないかを再確認して、必要であれば一緒に生活習慣を改善しましょう。
特に生活習慣を改善すると効果絶大なのは、お茶や水の代わりにジュースを飲むことが多い家庭です。ジュースをお茶や水に変えるだけで、肥満の改善、予防につながります」
(オトナンサー編集部)
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