「年明けから胃腸がずっと不調」、どう対処する? 病気の可能性は? 医師に聞く
胃腸の調子が悪い場合、どのように対処すべきなのでしょうか。医師に聞きました。

年末年始に食べ過ぎてしまい、休み明けに胃腸の調子が悪いと感じた人も多いのではないでしょうか。中には、現在も胃腸の不調が続いている人もいるようで、SNS上では、「年明けからずっと胃腸の調子が悪い」「年末年始の暴飲暴食で胃腸がやられている」といった声が上がっています。
胃腸の調子が悪い場合、どのように対処すべきなのでしょうか。また、不調が長引く場合、どのような病気の可能性が考えられるのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。
胃炎、胃潰瘍などの可能性も
Q.年末年始の休み明けに胃腸の調子が悪いと感じた人もいるようですが、なぜでしょうか。休み中の暴飲暴食が原因なのでしょうか。
市原さん「アルコールや塩分、香辛料、カフェインなどを摂取し過ぎた場合、胃の粘膜を直接刺激します。暴飲暴食も胃に負担がかかりますが、特に脂質の多い食べ物は胃の動きを弱め、消化吸収に時間がかかるので、さらに負担が大きくなります。
自律神経は内臓の働きや代謝、体温などをコントロールしており、胃腸の動きにも関係しています。休み中の不規則な生活で自律神経が乱れた場合、胃腸の働きが弱くなり不調を感じることもあります」
Q.胃腸の調子が悪いときは、どのように対処すべきなのでしょうか。
市原さん「おかゆやうどんのような、胃腸に優しい食べ物を摂取しましょう。これらの食べ物は食物繊維が少なく消化が早いため、胃腸に負担がかかりにくいです。一方、野菜(主にゴボウなど)やキノコ類、海藻、大豆製品といった食物繊維が多く含まれる物を食べると、消化や吸収に時間がかかり、かえって胃腸に負担をかけるので、できるだけ食物繊維の少ない食べ物を選んでください。
また、塩分が多く含まれる食べ物や酸味が強い食べ物のほか、香辛料やカフェインの摂取も避けましょう。症状がつらいときは、市販の胃薬を飲んでも構いません」
Q.胃腸の不調が続く場合、何らかの病気の可能性はあるのでしょうか。受診の目安について、教えてください。
市原さん「胃腸の不調が1週間以上続く場合は、胃酸の逆流による胸焼けや胃痛、胃もたれのほか、胃炎、胃潰瘍の可能性があります。アルコールのほか、脂質や糖質が多く含まれる食べ物を摂取し過ぎると、胃酸が食道に逆流しやすくなるので、注意が必要です。
また、『胃の調子が悪い』と訴えて受診する人の中には、胆のう炎が見つかるケースもあるので、不安であれば、消化器内科を受診するのがよいでしょう」
Q.胃腸の不調を放置した場合、どのようなリスクが生じる可能性があるのでしょうか。
市原さん「胃酸が食道に逆流する状態が続いた場合、逆流性食道炎を発症し、胸焼けや胃痛、胃もたれの症状が出やすくなるほか、将来的に食道がんのリスクが上がります。胃潰瘍を放置した場合は、胃に穴が開いて、激しい腹痛と発熱が生じて緊急手術が必要なケースもあります。
胆のう炎を放置すると、胃潰瘍と同様、激しい腹痛と発熱が生じます。その場合、抗生物質の点滴のために入院や、場合によっては緊急手術が必要になるケースもあります。いずれにせよ、症状が続く場合は消化器内科を受診しましょう」
(オトナンサー編集部)
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