オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

38歳ひきこもり長男の通帳とカード紛失…障害年金請求できない? 70歳母親がすべきことは?

ひきこもりの子ども名義の通帳とキャッシュカードを紛失した場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。

ひきこもりの子ども名義の通帳、キャッシュカードをなくしたときにすべき手続きとは?
ひきこもりの子ども名義の通帳、キャッシュカードをなくしたときにすべき手続きとは?

 お子さんのひきこもりが長期化しているご家庭の中には、お子さん名義の通帳とキャッシュカードが両方とも見当たらないといったケースもあります。ひきこもり状態では1人で再発行手続きに出向くのは難しく、そのままでは、通帳かカードのコピーが必要な公的年金の振り込み手続きができなくなり、将来の生活に支障を来す恐れがあります。お子さん名義の通帳とキャッシュカードの両方を紛失していることが分かったら、親が動けるうちに、お子さんと一緒に再発行の手続きをしておきましょう。

暗証番号を覚えていない母親

「ひきこもり長男(38)の障害年金の請求を手伝ってほしい」。そのような相談に来た母親(70)は、筆者と一緒に障害年金の請求のための準備をしていました。

「添付書類の一つとして、本人名義(長男名義)の通帳またはキャッシュカードのコピーも必要になります」

 その話をした途端、母親は困った顔をしました。

「実は長男名義の通帳やキャッシュカードを探してみたのですが、どこにも見当たりませんでした。銀行名と支店名は覚えているのですが、口座番号や暗証番号までは覚えていません…。今のところお金の管理は私がしているので、母親名義の口座では駄目なのでしょうか」

「残念ながら、公的年金は本人名義の口座でなければ振り込みをしてくれません。口座振り込みを希望しないのであれば、別途手続きをすることによって、郵便局の窓口で年金を受け取ることもできます。しかし、年金を毎回受け取りにいくのはかなり面倒な作業になってしまうことでしょう。やはり口座振り込みの方が望ましいと思います」

「そうですか…。では一体どうすればよいのでしょうか」

「通帳とキャッシュカードの再発行の手続きをすることになります。再発行については、私もあまり詳しくありませんので、今ここで調べてみましょうか」

 筆者は母親にそう提案し、スマホで調べました。

再発行の手続きは窓口かネットで可能

 再発行をするためには、次のような手順を踏むことが分かりました。

【(1)コールセンターまたは店舗に電話をする】
まずは電話をして、口座の取引をいったん停止する必要があるようです。どこに電話をすればよいのかは、ネットで「●●銀行 通帳紛失」のように検索をすれば分かります。

【(2)再発行の手続きをする(銀行の窓口またはネットで)】
■窓口で再発行の手続きをする場合
お子さん本人が手続きをすることになります。再発行の手数料は、ほとんどの銀行では1100円(税込み)となっているようです。

なお、手続きの際は届け出印と本人確認書類を求められます。写真付きの証明書(運転免許証、マイナンバーカード、障害者手帳など)の場合は1点、写真がない証明書の場合は、例えば『健康保険証と住民票』など2点が必要な場合が多いです。詳細については、電話で問い合わせるか、各銀行のホームページで確認しましょう。

■インターネットで再発行の手続きをする場合
インターネットバンキングの利用登録をしていれば、パソコンやスマホから再発行の手続きができます。ネットによる再発行の手数料は、窓口での手数料のおよそ半分になるようです。

 ネットで再発行の申し込みができるのであれば、長男はわざわざ銀行に行く必要はありません。しかし、母親に聞いたところ、長男はインターネットバンキングの利用登録をしていないとのことでした。では、インターネットバンキングの利用登録をするためには、どのような情報が必要なのか。調べてみると、次のような情報が必要なことが分かりました。

■インターネットバンキングの利用登録をするために必要な主な情報(※銀行ごとに異なる)
・氏名
・生年月日
・住所
・メールアドレス
・店番号(支店番号)
・口座番号
・キャッシュカードの暗証番号

 そこまで確認した筆者は、スマホの画面を消しました。

「息子さんの口座番号や暗証番号は分からないとのことなので、やはり窓口で再発行の手続きをすることになるでしょう」

「長男は20年以上もひきこもっているので、長男が銀行に行って手続きをすることは難しいと思います。母親の私が代理で手続きをすることはできないのでしょうか」

「そうですね。ざっと調べたところ、やはりご本人が窓口に出向いて手続きをすることになりそうです。おそらく口座の不正利用防止のためだと思われます。息子さんが1人で手続きをするのが難しいのなら、お母さまも一緒に銀行へ行き、再発行の手続きをしなければならないでしょう」

「分かりました。長男にもそのように伝えてみます。銀行口座が使えないと障害年金の振り込みもできませんし、親亡き後の生活も何かと不便になってしまうでしょうから」

 最後に、筆者は次のような提案もしました。

「通帳とキャッシュカードを再発行した後、インターネットバンキングの利用登録もしておくとよいかもしれませんね。ネットから各種手続きができるので、わざわざ銀行の窓口まで行く手間が省けます」

「そうですね。インターネットの方も長男と一緒にチャレンジしてみます」

 母親はそう答えました。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

1 2

浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

コメント