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「義母に『甘えている』と言われてつらかった」との声も…妊婦を苦しめる「つわり」の軽重、なぜ“個人差”がある? 産婦人科医に聞いた

症状や度合いに個人差が大きいことで知られる「つわり」は、初めての妊娠時と第2子以降でも軽重に違いがみられることも。産婦人科医に詳しく聞いてみました。

つらい「つわり」…なぜ個人差?
つらい「つわり」…なぜ個人差?

 妊娠中の女性を苦しめる「つわり」。実際の症状やその度合いについては個人差が大きいことが知られていますが、同じ人でも初めての妊娠時と第2子以降とで、つわりの軽重に違いがみられることもあるようで、「第1子のときは軽いつわりだったのに、第2子のときは動けないくらいつらかった」「ひどいつわりに懲りていたけど、2人目のときはうそみたいに軽くて拍子抜けした」といった体験談の他、「どうして個人差があるんだろう」「つわりがなかったという義母に『甘えている』と言われてつらかった」などの声も聞かれます。

「つわり」の“個人差”に関するさまざまな疑問について、産婦人科医の尾西芳子さんに聞きました。

原因やメカニズム、実は「まだよく分かっていない」?

Q.そもそも、つわりはなぜ起こるのですか。

尾西さん「幾つか説があります。自分と違う異物に対する拒絶反応であるという説、妊娠することで増加するホルモンが原因という説、ミネラルバランスの変化によって生じる説などです。

ミネラルバランス説があるのは、つわりを感じている人の血液を調べると、マグネシウムやカリウムが不足していることが分かっているためです。ビタミンB6も、不足するとつわりの症状が強く出ます。また、つわりは精神的なストレスによっても悪化することが医学的に証明されています。

各説にそれなりの根拠はあるのですが、実は、つわりの原因やメカニズムはまだよく分かっていないのが実情です。つわりは全くない人もいれば、食欲がない▽気持ち悪い▽吐いてしまう▽特定のものを異様に好んで食べる▽何か食べていないと気持ち悪くなる―などの症状が出る人もいます。私自身は妊娠中、無性にグラタンが食べたくなり、夏なのにグラタンばかり食べていました。人によって症状はさまざまです」

Q.「重いつわり」とは、どのくらいの程度・症状を指すことが多いのでしょうか。

尾西さん「妊娠前と比べて、体重が5キロ以上落ちるようなつわりは重度といえます。このようなつわりになると、母体からエネルギーを絞り出すため、尿に『ケトン体』が多く出ます。この度合いが『3+』以上になると、入院が必要になることもあります。それでも改善しない場合は母体が危険になるため、残念ながら、妊娠を中断せざるを得ないケースもあります」

Q.人によって、つわりの症状や重さに個人差があるのはなぜですか。

尾西さん「先述の通り、つわりのメカニズムがまだ分かっていないだけに、なぜ個人差があるのかについても不明です。そのため、つわりの度合いを自分でコントロールすることはできません。

1人目と2人目でつわりの出方が違うことも多いため、単なる体質や個人差ではないようです。そのため、第1子のつわりの症状・重さから、第2子以降のつわりがどうなるかについて予測することも難しいです。

なお、多胎(双子や三つ子など)の場合につわりが強く出るのは、妊娠すると増加する『ヒト絨毛(じゅうもう)性ゴナドトロピン(hCG)』というホルモンの量が多いためと考えられます」

Q.先ほど少し話がありましたが、つわりが一切出ない人もいるのですか。

尾西さん「います。そういう妊婦さんは逆に心配することもあるようですが、『いつか来るかも…』と不安に思っていると精神的な影響で吐き気が出てしまう場合があるので、『つわりが出ないのはラッキー』と思って気にせず過ごしてください」

Q.つわりについて、女性本人や周囲の人はどのように向き合うのがよいのでしょうか。

尾西さん「先述したように、つわりの原因ははっきりとはしていませんが、つわりにつながり得る要素を減らすことはできます。妊活中の女性が、今から少しでもつわりに対する不安を和らげておきたいのであれば、栄養バランスのいい食事を心掛けること、自分に合うストレス解消法を見つけておくことの2つを意識して生活するとよいのではないでしょうか。

また、つわりは精神的な要素も大きいため、周りの人が温かく見守り、手助けすることが大切です。実母や義母が『自分の妊娠中につわりがなかったから』と、『甘えている』『気のせいだ』と発言するという話もよく聞きますが、つわりは本当に個人差が大きいものなので、冷ややかな態度は禁物です。

そして、つわりがおさまる時期もさまざまです。多くは15週くらいで落ち着きますが、子宮が大きくなり、胃を圧迫することで、妊娠中ずっと気持ち悪い症状が続く妊婦さんもいます。周囲の人は、『つわりの時期はもう過ぎたから、気持ち悪いなんて気のせいだ。おかしい』などと決めつけないで、手助けをしてあげてくださいね」

(オトナンサー編集部)

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尾西芳子(おにし・よしこ)

産婦人科医(神谷町WGレディースクリニック院長)

2005年神戸大学国際文化学部卒業、山口大学医学部学士編入学。2009年山口大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院研修医、日本赤十字社医療センター産婦人科、済生会中津病院産婦人科などを経て、現在は「どんな小さな不調でも相談に来てほしい」と、女性の全ての悩みに応えられるかかりつけ医として、都内の産婦人科クリニックに勤務。産科・婦人科医の立場から、働く女性や管理職の男性に向けた企業研修を行っているほか、モデル経験があり、美と健康に関する知識も豊富。日本産科婦人科学会会員、日本女性医学学会会員、日本産婦人科乳腺学会会員。オフィシャルブログ(http://ameblo.jp/yoshiko-onishi/)。

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